無線電力伝送技術
2025-06-17 13:46:28

無線電力伝送技術の最前線—伊東教授が国際会議で受賞

無線電力伝送技術の最前線—伊東教授が国際会議で受賞



2025年から開催される「Wireless Power Technology Conference and Expo (WPTCE2025)」において、金沢工業大学の伊東健治教授が発表した論文が「Best paper award」を受賞しました。この国際会議は、無線電力伝送技術において世界的に権威のある場であり、採択される論文は238件に及びます。

この論文のタイトルは『A24GHz band highly efficient GaAs 1W rectenna MMIC electromagnetically coupled with an external AlN antenna for thermal dispersion』で、伊東教授を中心に数名の研究者が協力して作成しました。この業績は、無線電力伝送技術の重要性を再確認させるものであり、さらなる研究開発の可能性を示唆しています。

無線電力伝送技術の概要


無線電力伝送技術は、1960年代以来、主に宇宙太陽光発電衛星システムに関連した議論を経て、最近ではIoT端末へ適用が進んでいます。この技術は、電力を電波に変換して遠隔地に伝送することを可能にし、モバイルデバイスの充電やセンサデータの補給に革命的な影響を与えるでしょう。中でも、数mWの電力送信を実現したことで、温度センサを搭載したバッテリーレスのIoTデバイスの実用化が進展しています。

今後は、数100Wクラスの送電が可能な無人発電機(UAV)への応用や、さらには月面ローバーなどの宇宙探査機への電力供給を視野に入れた研究が進むことが期待されています。

受賞した論文の特色


伊東教授たちの作品は特に、24GHz帯の電波を利用して高いエネルギー変換効率を実現する受電素子—レクテナを扱っています。具体的には、ガリウム砒素(GaAs)を用いた1Wレクテナと高熱伝導率の窒化アルミニウムを基盤としたアンテナとの統合を試みました。

この新しい受電パネルは、直流への変換効率が73.9%と非常に高く、従来の技術と比較しても世界最高水準です。これにより、スマートフォンへの遠隔充電が現実味を帯びてきたというわけです。

リアルタイムな応用の可能性


総務省の国家プロジェクトによる支援もあり、無線電力送信の商業的な応用も視野に入っています。例えば、USB供給に相当する7.5Wの無線送電に向けた研究開発が続けられており、今後の展開が非常に楽しみです。

現段階では、受賞したレクテナを基盤として、複数のパネルを組み合わせた実証実験が計画されており、あらゆるモバイル機器への充電が実現することで、生活の利便性が更に向上するでしょう。

将来の展望


無線電力伝送技術の進展は、日常生活だけでなく、宇宙開発においても重要な役割を果たすと考えられています。特に、無人機や月面探査に関する技術はまだまだ発展途上ですが、伊東教授の研究成果がその基盤を築くことになるでしょう。今後も、この領域での研究と発展を見守る必要があります。


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