株式会社MICINは、グラクソ・スミスクライン(GSK)と協力して、大腸がんの治験に新しい分散型臨床試験(DCT)プラットフォームを導入しました。このDCTは従来の治験とは異なり、患者が医療機関に訪れる必要がなく、オンラインでの遠隔治療が可能になっています。このイニシアチブにより、参加者は自宅で治験に登録し、必要な手続きを行うことができ、これまで以上に多くの患者が治験に参加するチャンスが生まれるのです。
DCTプラットフォームである「MiROHA」は、オンライン診療や電子同意(eConsent)を利用することで、患者のアクセスを向上させます。2020年にサービスを開始以来、MiROHAは国内180以上の医療機関での使用が進んでおり、2,000症例を超える患者がこのプラットフォームを活用しています。これにより、地理的な制約を乗り越え、患者の治験参加の門戸を広げることが期待されています。
近年、日本国内では医薬品の開発スピードが重要な課題となっています。これを解決するために、GSKは看護師を訪問させる「ホームナーシング」と呼ばれる新たなアプローチを採用し、患者が自宅や勤務先で治験に参加できる環境を整えてきました。このような施策は、特にがん領域のように患者数が少ない場合において、治験参加の促進に寄与します。
GSKの開発本部長、三好出氏は、「我々は今後10年間で25億人の健康に貢献することを目指し、治験参加者の負担を軽減することで、より早く良質な医薬品を提供したいと考えています」と語ります。このような取り組みを通じて、患者中心の臨床試験環境の構築を進めていく所存です。
一方、MICINの代表取締役原聖吾は、「この大腸がんにおける治験が、患者にとっての新たな参加機会を生むことを期待しています。GSKと共にDCTの導入を積極的に進めている中、患者中心の治験を確立するため努めてまいります」と述べており、今後も様々な領域での展開を視野に入れています。
DCTの導入により、患者は自宅での診療や診断が可能になり、これまでの制度が抱えていた制約を大きく変えていくことでしょう。医療とテクノロジーの融合が新しい治験のスタイルを生み出し、より多くの患者に医薬品へのアクセスの機会を提供することが期待されています。
分散型臨床試験(DCT)の特徴は、医療機関への物理的な来院の必要がないことです。オンラインでの診察が可能となり、患者は居住地にかかわらず治験に参加することができます。これにより、医療資源の不足や距離の問題を克服し、より効率的な治験が行えるようになることが期待されています。
DCTプラットフォーム「MiROHA」は、従来の医療システムを革新するツールとして、多くの製薬企業に導入されています。今後も新たなDCT取り組みが進展することで、より良い医療環境の実現が近づくことが期待されます。これからの医療業界がどのように変化していくのか、注目が集まります。