放課後の質が子どもの成長にどう影響するのか?全国規模の調査研究がスタート
「放課後はゴールデンタイム」をビジョンに掲げる特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクールは、一般社団法人エビデンス共創機構と共に、放課後の居場所の質が子どもの健やかな成長や発達にどのように影響するかを検証する調査研究を開始しました。
この調査研究は、放課後の居場所の質を客観的に評価するための指標「新・保育環境評価スケール④放課後児童クラブ(SACERS)」を活用し、全国の放課後児童クラブなどを対象に実施されます。
なぜ放課後の質が重要なのか?
近年、学童待機児童問題が深刻化する中、放課後児童クラブの量的不足だけでなく、質の不足も深刻な課題として認識されています。
国は「こどもの居場所づくりに関する指針」において、居場所の質の重要性と検証の必要性を強調していますが、有効な指標と評価方法は未だ確立されていません。
放課後NPOアフタースクールは、質の高い放課後の居場所が、子どものWell-being向上に大きく貢献すると考え、今回の調査研究に着手しました。
SACERSとは?
SACERSは、保育園等の乳幼児期の保育環境評価指標として国内外で活用されているECERSの姉妹版です。小学生の子どもに、親以外によって提供される放課後のケアの環境の質を、7つの領域(空間と家具、健康と安全、活動、相互関係、育成支援計画、研修、特別支援)47項目のスケールで測定します。
調査研究の概要
本調査では、SACERSを使った観察と保護者アンケートを対象拠点に対して2回ずつ実施することで、放課後の質を客観的に評価し、それが子どもにとってどのような効果をもたらしているかを検証します。
調査期間は2024年6月から2027年3月末までを予定しており、全国から調査先拠点を公募しています。
期待される成果
今回の調査研究を通して、放課後児童クラブなどの現場運営者が導入しやすい評価・振り返り手法を確立し、質の高い放課後環境の実現を目指します。
具体的には、以下の観点を自治体や現場運営者が日々の運営に組み込めるように支援していきます。
1. 評価スケール等を活用し、セルフチェック・第三者評価など質を測る体制を整備する
2. 可視化されたことへの改善を講じていく(人材育成・研修への参加・環境整備等)
子どもたちの未来のために
放課後NPOアフタースクールは、今回の調査研究を通して、子どもたちの育ちに必要な環境要件を整理し、より良い放課後環境整備に向けて国の予算が投じられることを目指しています。
放課後の時間を、子どもたちが安全に、そして豊かな経験を通して成長できる時間にするために、今後も活動を続けていきます。