睡眠の質を誤解する時代、脳波測定がカギの研究結果

近年多くの人が睡眠の質に悩まされていますが、実際の睡眠状態は思っている以上に異なることが静かな注目を集めています。今回、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構（IIIS）と株式会社S'UIMINの共同研究によって、睡眠に対する主観的評価が必ずしも正確ではないことが示されました。この研究によると、66%の人が自覚的には問題を感じながらも、客観的な計測では異常が見られないことがある一方で、自分が十分に眠れていると感じている人の中からは45%に睡眠不足が確認されるという驚きの結果が報告されています。

睡眠評価の実態

私たちが普段感じる睡眠の質や時間は、実際のデータとは大きく乖離していることがあります。特に「不眠症」の診断は、これまで本人の訴えに基づいて行われてきましたが、研究の結果、自己評価が正確でないケースが多いことが明らかになりました。これは、睡眠中の記憶がほとんど残らないため、自覚だけで正確な判断をすることが難しいからです。

具体的には、睡眠時脳波測定を行った結果、ある人は自分が眠れていないと訴えていても、実際には数時間の睡眠をとっていることがあるということでした。逆に、実際に睡眠時間が短いにもかかわらず、「十分に眠れている」と感じる人も存在するのです。このような現状は、睡眠障害の治療において誤った方向へ導かれかねません。主観的な判断だけで進める治療法が無駄になったり、逆に深刻な問題を見逃す原因になりかねないのです。

研究の手法と結果

本研究では、421人の健康診断データが使われ、自宅での脳波測定を通じた客観的データと自覚的な評価を比較しました。その結果、医師が行った評価は、自覚的な評価とはまったく異なることがあることがわかりました。具体的に言うと、自己評価で「良い睡眠」を得ていると感じている人でも、実際には睡眠不足である可能性が高いということです。この研究は、睡眠と健康に対するアプローチを変える大きな指針となり得る内容を多く含んでいます。

なぜ脳波測定が必要なのか

睡眠医療には、脳波測定のような客観的手法が不可欠だということが、改めて証明されました。S'UIMINが開発した自宅で行えるInSomnografは、従来の入院型検査よりも手軽で、かつ正確です。このデバイスを使うことで、より多くの人が自分に合った睡眠のメカニズムを知り、健康的な生活を送る手助けになるでしょう。

未来への展望

今回の研究結果から、睡眠に対する主観的判断が如何に不正確であるかが浮き彫りになりました。今後は、客観的データの重要性がさらに強調されることとなるでしょう。このような研究が広まり、多くの人が自分の睡眠状態を正しく理解する手助けとなり、より健康的なライフスタイルへとつなげることが期待されます。睡眠障害の早期発見や適切な介入が行える未来が訪れることを願っています。