テックドクター、SLE診療支援に向けた新しい取り組み
株式会社テックドクターが、全身性エリテマトーデス(SLE)に対する診療支援のためのプログラム医療機器の研究開発に着手しました。これは、東京科学大学の細矢准教授が主導し、日本医療研究開発機構(AMED)から支援を受けています。新たな研究は、ウェアラブルデバイスから得られる生体データと患者報告データを統合解析し、疾患状態を客観的に示す「デジタルバイオマーカー」を創出することを目指しています。
研究の背景と意義
SLEは主に20~40代の女性に多く見られる自己免疫疾患で、慢性的な炎症が全身の様々な臓器に影響を及ぼします。国内の患者数は約6万から10万人とされており、慢性期の再燃リスクや薬剤の安全な減量に関する問題が未解決のまま残されています。従来の診察方法だけでは、患者の症状や経過の全貌を把握しきれないことが多く、疾患活動性を正確に評価するには限界があります。
このような背景から、ウェアラブルデバイスで取得する連続的生体データと、患者自身が報告する症状データを組み合わせることで、より詳細にSLEの病状を把握する手法が模索されてきました。デジタルバイオマーカーは、これらのデータを基に疾患活動性を定量化し、診療支援の質を向上させることを可能にします。
これまでの研究成果
昨年度、AMEDの支援を受けて行われた研究では、ウェアラブルデバイスからの生体データと患者報告アウトカム(PROs)を統合することにより、SLEの疾患状態をより正確に評価できる可能性が示されました。この成果は欧州リウマチ学会の学術集会でも発表され、大きな関心を集めました。
研究開発概要
今回の研究開発は、ウェアラブルデバイスとパーソナルヘルスレコードを活用し、プログラム医療機器としての実用化を目指しています。具体的には、患者の疾患活動性を定量的にスコア化し、医療者と患者での情報共有を通じた治療の最適化を図ります。また、同時に他の類似疾患への展開も視野に入れています。
新たに構築する患者コホートを基に、先行研究で得た知見の外挿性を検証し、専門医による病気の評価との整合性を確認する作業が進められています。最終的には、診療支援ツールとしてのプロトタイプを完成させることを目指しています。
社会的意義と展望
本研究を通じて得られる知見は、SLE患者に対する再燃リスクや症状変動の予測精度を高め、医師と患者との間での情報共有を促進することが期待されています。この情報を通じて、早期受診や治療の計画的介入が可能になると考えられます。
また、患者の状態を可視化することで、疾患と向き合いながら日常生活を送るためのサポートにもつながります。テックドクターは、難病領域における客観的評価手法の可能性を探求し、データに基づく医療の実現に邁進していく方針です。
テックドクターについて
テックドクターは2019年に設立され、ウェアラブルデバイスから取得したデータを解析し、デジタルバイオマーカーの開発に取り組んでいます。医療、製薬、食品との連携を通じて、AI医療の実現を目指しています。今後も、同社の取り組みに注目が集まります。