愛媛・八幡浜の高級ブランド柿「富士柿」がピンチ!それでも輝く味と生産者の想い
愛媛県八幡浜市。10月中旬から11月上旬にかけて、この地では高級ブランド柿「富士柿」の収穫期を迎えます。贈答用としても人気の高い富士柿ですが、今年は例年とは異なる試練に見舞われました。猛暑による日焼け、台風の強風による傷み、そしてカメムシの被害と、三重苦に見舞われたのです。
その結果、収穫量は昨年の2割減。そのうち約1割が規格外の「訳あり」となってしまいました。通常であれば加工用として流通するこれらの柿ですが、今年は被害の規模が大きいため、ECサイト「豊洲市場ドットコム」を運営する株式会社食文化が、産地を応援しようと「ワルガキ(柿)」として販売に乗り出したのです。
富士柿誕生秘話と、他とは違うこだわり
富士柿の発祥は、八幡浜市国木地区。昭和2年、昭和天皇即位を記念して配布された蜂屋系の柿の苗の中から、豊産性で着色が良く、果実が大型の変異種が発見されました。その果実の形状が富士山に似ていたことから、「富士柿」と名付けられたのです。
富士柿は渋柿のため、そのままでは食べられません。そこで、地元の生産者たちは独自の脱渋方法を開発しました。従来のCTSD法(炭酸ガス+アルコール脱渋法)では渋が抜けきれなかったため、アルコールのみを用いた方法を考案。脱渋期間を従来の10日から5日に短縮することに成功しました。
この独自の脱渋方法は、炭酸ガス方式と比べ、箱を開けた時の風味が良く、味がまろやかになるというメリットも。それが富士柿を高級ブランドへと押し上げ、多くの人々を魅了する理由の一つとなっています。
カメムシ被害にも負けない!富士柿の味わい
今年の富士柿は、カメムシの被害も受けています。カメムシがついた部分は、果肉が変色し、へこんでいるのが特徴です。見た目は悪いものの、人体に害はなく、美味しく食べられる部分も多いとのこと。変色した部分を取り除けば、その独特の風味とマンゴーのようななめらかで濃厚な食感を堪能できます。皮をむいて食べても良いですし、追熟させて柔らかくしてからスプーンですくって食べるのもおすすめです。
株式会社食文化の取り組み
今回の「ワルガキ(柿)」販売を企画したのは、株式会社食文化。2001年に産直グルメEC「うまいもんドットコム」を開業し、2004年には東京中央卸売市場と提携して「築地市場ドットコム(現豊洲市場ドットコム)」をスタートさせました。インターネットに不慣れな生産者を支援し、消費者に新鮮な食材を届けるという理念のもと、活動を続けています。
今回の取り組みは、生産者と消費者を繋ぐだけでなく、自然災害や害虫被害といった農業の課題を浮き彫りにする機会にもなっています。高級ブランド柿に襲いかかった困難を乗り越え、消費者の元へ届けられる富士柿。その味には、生産者の努力と地域の想いが凝縮されています。
消費者ができること
「訳あり」とはいえ、その味は本物の富士柿。生産者を応援したいという方は、ぜひこの機会に「ワルガキ(柿)」をお取り寄せしてみてはいかがでしょうか。