観光産業の景気回復
2024-09-26 13:23:34

インバウンド需要が押し上げる観光産業の景気回復とその課題

インバウンド需要が押し上げる観光産業の景気回復とその課題



秋の行楽シーズンを迎え、全国の観光地が賑わいを見せる中、観光産業の景況感が注目されています。特に、2024年9月の3連休には多くの観光地で訪問客数の増加が期待されています。この背景には、2023年5月に新型コロナウイルスが第5類に移行されたことが大きく影響しています。この変化以降、観光産業の各指標は2019年のコロナ禍前を上回る勢いを見せています。

その一方で、能登半島地震や大雨、さらには南海トラフ地震の注意情報といった自然災害も影を落としていますが、インバウンド需要がそれを支える形となっているのです。

観光産業の現状



観光産業はその性質上、多岐にわたる業種から構成されています。UNWTO(世界観光機関)が定義する観光産業に基づき、個々の業種を分類しますが、全体の状況を把握することは容易ではありません。この報告では、特に観光DI(景気動向指数)に着目し、その動向を分析します。

観光DIは、帝国データバンクが毎月実施する企業調査に基づいて算出されており、企業の景気判断や収益、設備投資意欲などを総合的に表した指標です。2023年3月から2024年8月にかけて、観光DIは18カ月連続で全産業の景気DIを上回っています。このことは、観光業界におけるインバウンド需要が依然として堅調であることを示しています。特に2024年の観光DIは、インバウンド需要の急増を受けて49.9を記録し、その後も48台を維持しています。

一方で、2024年1月には能登半島地震の影響で一時的に観光DIが45.8まで下落しましたが、石川県の観光促進策や堅調なインバウンド需要によって、2024年8月には47.2に改善しました。観光業者からは、地方ではインバウンドの影響が限定的であるとの声も寄せられていますが、全体的には楽観的な見通しが広がっています。

インバウンド需要の影響



日本政府観光局(JNTO)が発表したデータによると、2024年の訪日外国人客数は前年同期を大幅に上回る2107万人に達しました。これは、訪日客数がコロナ禍前の水準へ着実に戻りつつあることを示しています。しかしながら、国内旅行においては、2023年度の旅行業者の総取扱額が2兆3559億円に達したものの、海外旅行は1兆699億円にとどまり、未だコロナ前の水準には復帰できていません。この回復の遅れは、円安や物価高の影響などが要因となっています。

2024年度に入っても、海外旅行の復調は鈍さを見せており、旅行全体の取り扱い額は前年同期比で7.1%の増加にとどまります。したがって、観光産業の全体像は明るいものの、海外旅行の回復には課題が残ります。

課題と展望



インバウンド需要のおかげで、観光DIは18カ月連続で全産業を上回る状況ですが、円高が進むことでマイナスの影響も懸念されています。また、人手不足やオーバーツーリズムといった経営課題も抱えています。これらの課題を乗り越えつつ、新しい旅行需要を掘り起こす努力が求められています。観光産業の今後がどうなるのか、引き続き注視していく必要があります。


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