AIが医療現場の負担軽減に貢献!診療ガイドライン作成の効率化
千葉大学医学部附属病院の研究チームは、ChatGPTなどの大規模言語モデル(LLM)を活用することで、診療ガイドライン作成に必要な文献を効率的にスクリーニングできることを実証しました。
診療ガイドラインは、医師や看護師などの医療従事者が、患者に対する適切な検査や治療を行うための指針となる重要な文書です。しかし、ガイドラインを作成するためには、膨大な量の医学文献から関連するものを探し出し、情報を精査する必要があり、多くの時間と労力を要していました。
研究チームは、LLMを用いることで、この文献スクリーニングの作業を大幅に効率化できることを発見しました。LLMは、学習した膨大なデータをもとに、人間の指示に対して適切な情報を提供することができるAI技術です。今回の研究では、LLMに診療ガイドラインの作成に必要な情報を提供し、関連する文献を自動的に探し出すように指示しました。
その結果、LLMは従来の方法と比較して、文献スクリーニングにかかる時間を大幅に短縮し、かつ高い精度で関連する文献を見つけることができたのです。
具体的な成果
研究チームは、日本版敗血症診療ガイドラインの作成において、LLMを用いた文献スクリーニングの実証実験を行いました。その結果、LLMは従来の方法と比較して、以下の成果が得られました。
文献スクリーニング時間の短縮: 従来の方法では100件の文献をスクリーニングするのに17.2分かかっていたところ、LLMを用いることで約1.3分に短縮されました。
スクリーニング精度の向上: LLMは、感度0.91(95%信頼区間[CI]、0.77–0.97)、特異度0.98(95% CI, 0.96–0.99)という高い精度で関連する文献を見つけることができました。
これらの結果は、LLMが診療ガイドラインの作成において、時間と労力の削減に大きく貢献できることを示しています。
今後の展開
今回の研究成果は、医療従事者の働き方改革に大きく貢献する可能性を秘めています。医療現場では、医師の負担軽減が大きな課題となっており、AI技術を活用することで、より効率的な医療体制を構築することが期待されます。
研究チームは、今後もLLMの性能向上を目指すとともに、他の医療分野への応用研究を進めていく予定です。AI技術が医療現場に革新をもたらし、患者と医療従事者双方にとってより良い医療環境を実現することを目指しています。