深紫外LEDで大空間殺菌
2025-11-13 14:10:44

コンサートホール向け深紫外LED殺菌システムの革命的進展

コンサートホール向け深紫外LED殺菌システムの革命的進展



近年、ウイルス感染の脅威が高まる中で、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が開発した新しい空間殺菌システムが注目を集めています。このシステムは、コンサートホール規模の大空間において浮遊しているウイルスを安全かつ迅速に不活性化することを実現しました。具体的には、高強度の深紫外LEDを利用することで、ウイルスの99.9%をわずか42分で不活化することに成功しています。

新技術の背景と開発


深紫外LEDは、ウイルスや細菌に対して非常に強力な殺菌効果を持つ光を放ちます。この特性から、NICTでは深紫外LEDの研究を進めており、人体に対して安全な利用法の模索が進められてきました。これまでは、ウイルスを含む空気を筐体内で殺菌し、その後清浄化した空気を外に排出する方法が主流でしたが、大規模なホールにおいては効率的な運用が難しいという課題がありました。

そこで、今回開発されたシステムは、深紫外光を大型ホールの“上層空間のみ”に選択的に照射できる技術を実現しました。このモジュールは、送風ファンを活用し、ウイルスを含む空気を迅速に上層へと送り、そこで殺菌を行います。その後、清浄化された空気は再び下層に循環され、ホール内の空気品質が保たれる仕組みです。

実証実験とその成果


実際にこのシステムは、熊谷文化創造館さくらめいとの太陽のホールに設置され、観客がいる状態でも安全に運用できることが確認されました。特に、ヒトコロナウイルス229Eを利用した試験では、わずか42分で99.9%の不活性化が達成され、これにより水銀ランプを用いた場合に比べ、殺菌にかかる時間を72%短縮することができました。

この技術は、今後の大規模イベントにおける安全対策として、極めて重要な役割を果たすことが期待されます。いったいこの技術がどのようにして普及していくのか、今後の動向に注目です。

今後の展望


NICTは、今回の成果を元にさらなる技術開発と社会実装を進めていく方針です。将来的には、深紫外光による空間殺菌技術が標準化され、人々の日常生活に安心をもたらすことになるでしょう。これにより、ウイルスによるパンデミックの危機を軽減し、持続可能で安全な社会の実現に寄与することが期待されています。

このように、深紫外LEDによる空間殺菌技術は新たな時代を迎えようとしています。大規模なコンサートやイベントが再び安全に行われる日を心待ちにしたいところです。

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