アセンド株式会社、シリーズBラウンドで11億円の資金を調達
東京都新宿区に本社を置くアセンド株式会社が、物流のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するために、シリーズBラウンドで合計11億円の資金調達を成功させました。この資金は、リード投資家のグロービス・キャピタル・パートナーズを中心に、既存の株主と新規の投資家からの出資による第三者割当増資に加え、金融機関からの融資によって調達されました。これにより、アセンドの累計資金調達額は約18億円となります。
アセンドは、運送管理プラットフォーム「ロジックス」を基に、運送事業者、荷主企業、協力会社を一つのネットワークに統合し、物流業界全体の変革を目指しています。最近顕在化している「2024年問題」に対応し、持続可能な物流基盤の構築に向けた取り組みを加速させます。
物流業界の現状と課題
物流業界は、「2024年問題」と呼ばれる運送業務に影響を与える問題に直面しています。2024年4月から始まるトラックドライバーの時間外労働規制によって、2030年には約35%の物流供給が不足し、10兆円規模の経済損失が予測されています。この問題の根本的な原因は、単に人手不足だけではなく、利益が出にくい産業モデルにあります。
トラック業界は高額な固定資産を抱え、差別化が難しいサービスを提供するため、収益性が低い状況が続いています。また、運送業者ごとの最適化された輸送網が独自に築かれ、多重下請けや柔軟な取引構造が問題となっています。これを解決するためには、データを一元管理し、正確な稼働状況を把握することが重要です。
「ロジックス」の紹介
アセンドが開発した「ロジックス」は、クラウド型運送管理プラットフォームで、運送業務のすべてを一元化しています。受発注から配車、請求、労務管理、車両管理までを統合し、日々の業務データを経営データへと変換します。これにより、効率化と改善が同時に実現でき、収益管理やポートフォリオの最適化が可能になります。
導入から3年で、中小企業から上場企業まで多くの運送事業者に利用され、前年比250%以上の成長を遂げています。実際、データ主導の価格交渉によって売上が20%増加した企業もあります。
今後、アセンドは「協力会社連携」機能の開発に注力し、キャンペーンを通じて物流改善に寄与する基盤を構築します。ロジックスは単なるSaaSシステムではなく、業界の課題を再定義するプラットフォームに進化し続けます。
Vertical Conglomerate戦略
アセンドは、物流業界特化型の企業として、運送管理プラットフォーム「ロジックス」やコンサルティング事業をベースに、お客様と協力してデータドリブンな物流体系を構築していきます。共同配送や在庫調整を最適化し、荷主と運送会社の共通KPIを整備することで、サプライチェーン全体でデータを有効活用できる基盤を整えていきます。
また、実運送および3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業のM&Aを通じて、自社に企画・運営機能を取り込むことで、デジタルとリアルな面から物流構造の見直しを進めていきます。
おわりに
今回の資金調達を通じて、アセンドは持続可能な物流基盤の構築に全力を注ぎます。代表取締役社長の日下瑞貴氏は、「物流の真価を開き、あらゆる産業を支える」ことを目指し、挑戦を続ける決意を新たにしています。
我々のミッションは物流を支えることで、社会全体の効率性を向上させることに他なりません。これからの物流業界の未来が注目されています。