滋賀県甲賀市で進化するお茶業と再エネの共存

茶業と再生可能エネルギーの融合

滋賀県甲賀市で生産される「土山茶」は、豊かな香りと深い味わいが特長です。しかし、この品質を維持していくためには、農業の現場で光の調整をしっかり行う必要があります。しかし、全国で毎年約1,000ヘクタールもの茶畑が減少し、維持管理が厳しくなっています。甲賀市も、担い手不足や高齢化、そして気候変動による影響に直面しており、持続可能な茶業を支える新たな技術が求められています。

株式会社MOAIの新技術

株式会社MOAIが開発した「半反射フィルム式・垂直型ソーラーファーム」は、そんな課題を解決するための取り組みです。この技術は、両面発電が可能な垂直型の太陽光パネルと、独自の半反射フィルムを組み合わせています。このシステムは、日射量を最適に調整しながら高効率な発電を可能にします。

特に注目すべき点は、お茶の栽培に必要な「日照と遮光のバランス」を実現できることです。高温障害や葉焼けのリスクが高まる夏場でも、茶葉には理想的な光環境を保証します。また、垂直に設置することで、風雪の影響を受けにくく、省スペースで低コストの導入が可能です。

農家の収益向上に貢献

また、この新しい形状は雨水の流路を確保し、機械による収穫との相性も良いため、高齢化が進む農家や人手不足に悩む生産者にとって、大きな助けとなります。さらに、発電から得られる収益の配分を考慮することで、農家の所得向上や耕作放棄地の有効利用にもつながる可能性があります。

地域ブランドを支える

甲賀市と農事組合法人グリーンティ土山の協力のもと、このプロジェクトは甲賀市内の茶畑で実施されています。現場のニーズを反映した設計で、効果的かつ持続可能なモデルを確立しようと努めています。さらに、静岡大学の専門家の監修のもと、ブランド価値向上のための技術効果検証も進めています。

今後は、センサー技術や気象データをもとにAIと連携した栽培支援が計画されており、さらに精度の高い生産支援が期待されています。初回の実証エリアは小規模ですが、今後は2ヘクタールの大規模な茶畑での事業化も視野に入れています。

日本の農業の未来に向けて

日本全国では、お茶畑だけでも毎年1,000ヘクタール以上の耕作放棄地が発生しています。この半反射フィルム式・垂直型ソーラーファームは、そんな全国的な課題に対処する新たな土地活用モデルとして、非常に注目されています。甲賀の成功事例を通じて他地域への展開も計画されており、農業とエネルギーの共存に向けた一歩として期待が高まっています。

株式会社MOAIは、地域の課題に挑んでおり、「模合」という沖縄の文化を背景に、人と人、技術と課題、都市と地方をつなぐ存在として、耕作放棄地の再生をはじめ、地域の未来を切り開いていきます。この取り組みが、持続可能な農業と地域の活性化に貢献することを期待したいです。