ニチブライトが示すがん外科手術時の新しい可能性
2024年7月25日から27日に大阪で開催される第61回日本外科代謝栄養学会。そこで発表されたのは、ニチブライト(nich BRITE)と呼ばれる日本産のβグルカンが、外科手術を受けるがん患者に与える影響についての研究成果です。
研究の背景
がんは世界中で主要な死亡原因とされ、手術を含む治療が必要です。がん患者では、外科手術後に免疫力が低下し、転移や感染症のリスクが高まります。このような状況を改善するため、栄養補助剤やサプリメントの研究が進められています。
その中で注目されているのが、ニチブライトです。このβグルカンは、黒酵母Aureobasidium Pullulansによって生産され、水溶性なのが特徴です。製品1gあたりの有効成分が標準化されていて、アレルゲンを含まず、経口での摂取ができる安心なサプリメントとして、がん患者への利用が期待されています。
研究の目的
ジーエヌコーポレーションは2009年から、がん予防や負荷軽減に関わる研究を行っています。特に代謝や免疫パラメータ、腸内細菌の変化に注目し、ニチブライトを用いた臨床試験を推奨しています。今回の発表では、外科手術を受けるがん患者に対して、有益なデータが得られたことが報告されました。
具体的な研究結果
研究チームは、以下の前臨床及び臨床研究を行い、成果を上げています。
1.
SDラットの実験: ニチブライトを摂取させた結果、NLR(Neutrophil-to-Lymphocyte Ratio)の減少とLeukocyte-to-C-reactive protein ratio(LeCR)の増加が認められました。
2.
Nash動物モデル: 腸内細菌の一種、Enterobacteriaceaeが減少する傾向が見られました。
3.
健康なボランティア: HbA1Cや糖化アルブミン(GA)が減少し、LCRとLeCRが増加。これは健康に良い影響を与えることを示しています。
4.
自閉症児の研究: ニチブライトを摂取したグループでは、Enterobacteriaceaeが減少し、膵臓がん患者に関連するFaecalibacterium prausnitziiが増加しました。
専門的見地からの意義
外科手術のストレスによって免疫力が低下すると、術後合併症のリスクが増加します。しかし、ニチブライトのβグルカンがこのリスクを軽減する可能性があることが示唆されています。この利点は、特に肝臓がんや膵臓がんの患者にとって重要です。
現在、ジーエヌコーポレーションは高知県の近森病院で、これらのがん患者を対象としたさらなる臨床研究を行っています。この研究の最終結果は、2024年8月に行われる国際会議で発表される予定です。なくてはならない存在になるかもしれないニチブライト、この研究成果から目が離せません。
昨今、がんの予防や治療における栄養補助の重要性はますます高まっています。ニチブライトの可能性を追求することで、多くの患者に恩恵がもたらされることを期待します。