中国市場における日系ITサービス業の最新動向
リスクモンスター株式会社の連結子会社、リスクモンスターチャイナが実施した調査により、中国に進出する日系ITサービス業の動向が分析されました。本レポートは、2023年3月時点での法人登記情報をもとに中国全土における日系企業のデータを収集し、898社を対象に行われました。
調査の概要
本調査は、情報輸送、ソフトウェア、情報技術サービス業に分類された企業を対象とし、親会社別の企業数や地域別の分布、企業数の推移を多角的に分析しました。このレポートの結果は、日本企業が中国市場でどのように展開しているかを知る手助けとなります。
特に注目すべきは、企業数によるランキングです。調査の結果、「日産自動車」「NTTデータ」「セコム」という日本企業が同率1位に浮上し、それぞれ10社の子会社を持っています。これらの企業は、中国国内でのIT関連サービスに大きく貢献していることが理解できます。
日系IT業界の企業数別ランク
1位の「日産自動車」は、合弁会社「東風汽車」を通じて、自動車業界向けのITソリューションや配車アプリの開発を進めています。次に「セコム」は、オンラインセキュリティサービスを基軸とした事業展開を行い、さらに「NTTデータ」は、様々なクラウドサービスやBPO事業にも力を入れています。
業種別の企業数
調査によると、各業種間の企業数を細分化してみると、「ソフトウェア開発」が457社(全体の50.9%)を占めて最も多いことが分かります。次には、コールセンターなどを含む「その他情報技術サービス」が138社(15.4%)に、そして「情報技術コンサルティングサービス」が65社(7.2%)と続きます。つまり、日系のITサービス業は半分以上がソフトウェア開発に従事していると言えるでしょう。
企業数の推移と地域分布
中国における日系ITサービス業の企業数は、1984年の中国進出以降増加を続けており、特に2000年以降に急激に増加しています。地域別に見ると、最も多いのは「上海」で251社(29.8%)で、次に「遼寧省」が179社(21.3%)お願いします。さらに「広東省」は78社(9.3%)というデータが示されています。これらの地域は、全体の約60%を占めており、日系IT企業が集積していることがわかります。
上海は、中国国内で特に経済が発展している地域の一つで、多くの大学があり全国から優秀な人材が集まるため、IT企業にも魅力的な環境となっています。一方、遼寧省の大連市は、海外企業誘致に力を入れてきた結果、日本からのソフトウェア開発のオフショア拠点として成長を遂げています。
競争力を持つための新たな戦略
かつて中国は、日本にとってコスト面で魅力的なオフショア拠点でしたが、経済の発展に伴い人件費が上昇し、単なるコスト削減のための開発地としての魅力は薄れつつあります。今後は、中国の高度なIT人材を活用し、現地市場に特化したサービスを展開することが、日系ITサービス業にとって成功のカギとなるでしょう。
中国のIT産業は急速に成長しており、競争力を持つ企業が次々と出てきています。日系ITサービス業は、このスピーディーな市場環境に柔軟に対応できるかが、持続的な競争力を保つための重要な課題となるでしょう。
結論
中国市場における日系ITサービス業は、今後の展開が非常に楽しみであり、企業は新しい戦略を模索し続ける必要があります。詳細な調査結果は、リスクモンスターチャイナのウェブサイトで確認することができます。