沖縄が誇る新技術!サメの小型人工子宮の成功とその意義
一般財団法人沖縄美ら島財団が、胎性サメ類の早産胎仔を救命するために開発した新たな小型人工子宮装置が、2024年11月17日に国際学術誌"MethodsX"に発表されました。この装置は、従来型の大型モデルとは異なり、その仕組みを徹底してシンプル化した結果、サイズを大幅に縮小し、持ち運びが可能なものとなりました。
開発の背景と目的
沖縄美ら島財団は2017年から胚の育成に関する研究を続けており、その成果は日々進歩しています。これまでの大型人工子宮は、水族館内での使用に限定され、搬送には数日かかる大きさでした。さらには、定期的な羊水の交換作業が運用上の大きな負担となっていました。このため、より小型で効率の良い装置の開発が強く望まれていたのです。
新装置の特長
新たにデザインされた小型人工子宮装置は、装置の総重量を約40kgにまで軽量化。これにより人力での移動が可能になり、車や小型船にも積載できるサイズになりました。また、装置の設計においては、最小限の人工羊水での育成、濾過フィルターの省略、そして水温維持にコンパクトな冷蔵庫を用いるという大胆な変更が加えられました。これにより、手軽に運用できる装置が完成しました。
実績と成果
2023年12月から2024年2月にかけて、新装置を使用し、深海ザメ「ヒレタカフジクジラ」の胎仔6尾を育成しました。この結果、胎仔は無事に出生サイズにまで成長し、人為的な出産を成功させました。これは、サメ類の研究においても画期的な成果であり、人工子宮技術が絶滅危惧種の保全に寄与する大きな一歩とされます。
未来への期待
この新型人工子宮装置は、今後、野外で回収される早産胎仔の長時間搬送などに役立てられることが期待されています。また、全国の水族館や研究機関における獣医療においても利用が進むことでしょう。沖縄美ら島財団は引き続き装置の改良を進めるとともに、根本的な研究成果を示すことで、幅広い海洋生物の保護活動への貢献を目指しています。
展示情報
この人工子宮装置は沖縄美ら海水族館の「サメ博士の部屋」に展示されており、一般の方もその技術を間近に見ることができます。サメの保護活動に対して興味を持っている方は、ぜひ訪れてみてください。
代表研究者プロフィール
冨田武照博士は東京大学大学院を修了後、フロリダ州立大学に勤務し、2015年から沖縄美ら島財団に所属しています。サメの機能形態学に専門性を持ち、人工子宮技術の発展に尽力されています。
この技術の成功は、サメの保全活動において新たな道を切り開くものと期待されています。