液晶構造の解明
2024-12-03 05:08:25

液晶の秩序構造の新たな解明:シミュレーションと機械学習の融合

液晶の秩序構造の新たな解明



液晶や高分子などのソフトマテリアルにおいて、分子がどのように複雑な秩序構造を形成するのかを解明することは、これまで非常に難しい課題とされてきました。それは、構造転移のメカニズムが不明瞭であったためです。しかし、九州大学と産業技術総合研究所の共同研究によって、液晶の特定の構造遷移の過程が新たに解明されました。

背景と研究の目的


液晶の秩序構造には、コレステリックブルー相(BPIとBPII)などの構造があり、これらの間での転移は材料の特性に大きな影響を与えます。本研究では、特にBPIIからBPIへの構造転移に焦点を当て、この過程で生じる双晶構造の形成メカニズムを解明しようとしました。これには、連続体シミュレーションと機械学習を駆使し、局所的な秩序構造の状態を正確に判定することが求められました。

本研究の手法


研究チームは、連続体シミュレーションと機械学習を組み合わせ、液晶の3次元的な構造を精密に再現しました。連続体シミュレーションにより、液晶の微視的な挙動を可視化し、機械学習では、その中から特定の状態を判定しました。この手法を用いることで、構造転移の詳細なメカニズムを見いだすことができました。

研究結果


BPIIからBPIへの構造転移において、特に重要な発見がありました。それは、BPIIに含まれる線欠陥のジャンクションが切れることから構造転移が始まるというものでした。その後、特定の向きで形成されたBPI構造が小さな領域内にまず生じ、その隣接部分に異なる向きのBPIが形成されることにより、双晶構造が生成されることが分かりました。これにより、液晶の複雑な秩序構造の形成過程が明確に示されました。

今後の展望


この研究成果は、液晶だけでなく、他のソフトマテリアルや様々な材料においても、複雑な秩序構造の理解に寄与することが期待されます。さらに、材料設計や加工技術においても、新しいアプローチを提供する可能性があります。今後、これらの知見がどのように実用化されていくのか、注目が集まります。

この研究成果は、アメリカの国際学術誌『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)』に掲載される予定です。詳細は公式のプレスリリースをご覧ください。


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