プライバシー技術への新たな挑戦
愛知県名古屋市に拠点を置く株式会社Acompanyの研究開発部に所属する百瀬孝紀氏が、Ethereum Foundationの「Ecosystem Support Program」に採択されました。これは、同氏が取り組むプライバシー基盤技術の独自研究に対する資金支援の一環です。本プロジェクトでは、ブロックチェーン領域に特化したプライバシーの確保を目指し、特に秘匿計算の手法であるマルチパーティー計算(MPC)の暗号プロトコルの開発に取り組みます。
研究背景と目的
近年、デジタル化の進展に伴い、プライバシーの重要性が増しています。ブロックチェーン技術はその透明性が評価されていますが、オープンなネットワーク環境でのデータの保護には多くの課題があります。これに対して、百瀬氏はMPC技術の導入を通じて、プライバシーを守りつつも共同作業を可能にする新しい方法を模索しています。従来のMPCプロトコルは企業内部での利用を前提としているため、オープンな環境下に適した技術の開発が求められています。
本研究は、特に完全非同期ネットワーク環境での実現を目指しています。この環境では、各参加者が独立して動作できるため、従来の通信タイミングに依存せず、より柔軟にデータ処理が可能になります。この点が他のMPC技術との大きな違いです。
Ecosystem Support Programの意義
「Ecosystem Support Program」はEthereum Foundationが運営するグラントであり、Ethereumエコシステムの改善に向けたプロジェクトを支援することを目的としています。このプログラムを通じて得られる資金やリソースは、百瀬氏の研究をさらに加速させるでしょう。
プライバシーテックの役割
プライバシーテックとは、個人のプライバシーを守るためのテクノロジー全般を指します。最近では、データ暗号化による安全な分析や、個人を特定せずにデータを利用する「k-匿名化」など、様々な技術が開発されています。これらの技術の進化は、個人データの保護だけでなく、データの利活用の幅を広げることに寄与しています。
会社概要と今後の展望
Acompanyは2018年に設立され、その事業の中心はパーソナルデータの利活用を実現するクラウドサービス『AutoPrivacy』や、プライバシーDXコンサルティングです。CEOの高橋亮祐氏が率いるこの会社は、攻めと守りの両立を目指して、引き続き独自の研究開発を進めていくでしょう。
本件に関しての詳細や問い合わせは、Acompanyの公式サイトよりお願いします。今後の百瀬氏の研究成果に期待が寄せられています。