相模原市の新しいフードドライブ
相模原市では、市内の教育施設「相模川自然の村野外体験教室」通称「相模川ビレッジ若あゆ」で実施された校外学習の一環として、小学生たちの手によって収穫されたお米が、地域の子ども食堂に届けられました。この新たな取り組みは、まさに“子どもたちが育てた米を子どもたちのために”という理念のもとで成り立っています。
農業体験を通じた学び
「相模川ビレッジ若あゆ」は、豊かな自然環境の中で子どもたちの自主性と創造性を育む様々な体験活動を提供している施設です。令和6年度には市内の小学生2,924人が、5月から11月にかけて稲作の農業体験を行いました。
この体験では、代かき、田植え、稲刈り、脱穀などの一連の農作業を行うことで、子どもたちは農業の楽しさや難しさ、そして「食」や「いのちのつながり」について考えを深める機会を得ました。たとえば、代かきでは田んぼの土と空気が混ざり合い、子どもたちが協力して稲を植える様子が見られました。また、手作業での稲刈りも行われ、昔ながらの農具を使い脱穀作業に挑む姿は、彼らの成長を感じさせるものでした。
子どもたちの誇り「若あゆ元気米」
この農業体験の結果、収穫されたお米は「若あゆ元気米」と名付けられ、子どもたちの誇りとなりました。令和7年3月には、この「若あゆ元気米」の一部、350Kgが14軒の子ども食堂へ提供され、愛情が込められたお米は、別の多くの子どもたちの食卓に並ぶこととなりました。
この取り組みを通じて、子どもたちは循環型社会の重要性を実感し、自分たちの手で育てた食べ物が誰かの役に立つことを学ぶ貴重な機会となったことでしょう。この新しい形のフードドライブは、地域の絆を深め、子どもたちの心に食への感謝の気持ちを育む一助となったのです。
体験のさらなる広がり
この取り組みは、「JA相模原市農業体験補助事業」としても位置付けられ、教育委員会との連携により子どもたちに農業の素晴らしさを伝えています。また、相模原市では、家族を対象に田植えや稲刈りの農業体験を行う「食農体験デー」も実施しています。このイベントでは、自然の中で食と命について考える体験を通じて、参加者全員が新たな視点を得られる機会が提供されています。
子どもたちが育てた「若あゆ元気米」を通じて、相模原市ではより良い食文化と地域のつながりが大切にされています。今後の取り組みにも注目が集まります。