歯科医療の意識変化
最近の調査によると、歯科医療に対する意識が変わりつつあることがわかりました。公益社団法人日本歯科医師会が実施した「歯科医療に関する一般生活者調査」は、15歳から79歳の男女1万人を対象に行われたものです。この調査は、特にコロナ禍を経て、国民の予防意識が高まっていることを示しています。
定期チェック受診者の増加
この調査によると、歯科医療機関で定期的にチェックを受けている人は、約48.6%に達しました。この数値は、2018年の43.4%から増加しています。また、定期的な受診頻度が「3カ月に1回以上」と回答した人は59.1%と、2018年の35.4%から大きく増加しています。この背景には、コロナ禍を経験したことによる健康意識の高まりがあると考えられます。
受診理由
定期チェックを受けている理由としては、「安心できるから」「歯周病やむし歯などの予防ができるから」が挙げられています。これにより、多くの人々が自分の健康を守るための手段として、定期的な検診の重要性を認識し始めているということがわかります。
自分の歯を守ることの意義
調査によると、91.9%の人が「健康維持のために自分の歯をできるだけ残したい」と考えています。歯を失うことが持つ影響は、食事や見た目の老化だけでなく、「全身の健康」や「笑顔」にも関連していると多くの人が回答しました。このことから、歯科医療がコミュニケーション能力や社会とのつながりに重要な役割を果たしていると理解されています。
笑顔とコミュニケーション
特に、「笑顔」と「人との交流」を失う可能性について懸念する人が増えていることが示されています。歯を失うことが人間関係に与える影響について、多くの人が考えるようになっているのは、興味深い現象です。
健康に対する理解度の低下
しかし、調査結果からは、歯や口の健康が全身の健康にどれだけ重要であるかの理解が低下していることも明らかになりました。91.0%が「健康維持のために歯や口の健康が欠かせない」と答えたものの、具体的に「20本以上自分の歯を保つことが、健康長寿につながる」という理解度は40.5%と低下傾向にあります。特に、若い世代ではこの理解度が顕著に低く、10代では26.6%、20代で27.0%といった結果が出ています。
歯科健診の充実への期待
全国民対象の歯科健診の充実について、83.8%が賛成しています。メリットとしては、「歯科疾患の早期発見」「全身の健康維持」「おいしく食事することができる」といった点が強調されています。しかし、費用負担が不安要素であるとのことです。特に、万人が歯科健診を受けやすくするためには、「費用が無料であること」「どこの歯科でも受診可能であること」が求められています。
結論
この調査を通じて、歯科医療に対する国民の意識や理解が変わりつつある一方で、若い世代においてその理解度は低下しているという課題があります。今後、より多くの人々が歯科健診を受け、健康維持に繋がるような取り組みが望まれます。歯科医療の評価や健診の充実が、より良い健康社会を築く鍵となるでしょう。