新たな時代を切り拓くLEO PNT技術の可能性
古野電気株式会社(本社: 兵庫県西宮市)は、米国の宇宙系スタートアップ企業、Xona Space Systemsと共に、次世代衛星測位技術「LEO PNT」の開発に関する基本合意書(MoU)を締結しました。この合意により、両社は互いの技術を活用し、新たな事業機会を創出することを目指しています。
基本合意書の背景
近年、多くの社会インフラや通信システムは、GPSなどの全地球測位システム(GNSS)に依存していますが、一方で信号の妨害や改ざんといったリスクも浮上しています。こうした状況を受け、2020年には米国の大統領が「測位・航法・時刻同期(PNT)サービスの責任ある利用を通じた国家レジリエンスの強化」を掲げた声明を発表しました。この中で、GNSSへの依存を減らす手段の確保が国家的課題と位置付けられました。この流れに応じて、古野電気はLEO PNTの可能性を探り、製品化の道を模索しています。
Xona Space Systemsとは
Xona Space Systemsは、商用LEO PNTシステム「Pulsar」の開発を進める米国のスタートアップです。彼らの技術は、258機の低軌道衛星から成る独自の衛星群を用いて、測位と時刻同期を行います。興味深い点は、PulsarはGPS信号の約100倍の強さを持ちつつ、GNSSとの互換性が維持されていることです。これによって、既存のGPS/GNSS用の受信機やアンテナを活用してコストを削減しつつ、市場への展開時期を短縮することが可能になります。
LEO PNTの特徴と利点
LEO PNT技術は、地表から約1,000kmに配備された緯度200~400機の人工衛星から信号を受信します。自動車や船舶などの移動体を対象とした測位や、5G/6G通信のための時刻同期を実現することが期待されています。GPSが地表から約20,200kmの距離にあることと比較すると、LEO PNTは地球に近い位置にあるため、強力な信号を受信できます。これにより、妨害に強く、より高精度で信頼性の高い測位と時刻同期を実現できます。
共同開発による未来展望
古野電気はXona社のPulsar技術を自社製品に統合することで、GNSSとの併用によって製品性能を大幅に向上させることができます。また、GNSSに代わる時刻同期手段を提供することにより、無線通信における依存度を低下させ、より堅牢な通信インフラを構築することが可能となります。
古野電気は「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」を事業ビジョンに掲げ、次世代の時刻同期技術に対する研究や技術の確立を進めることで、重要インフラの支援に取り組んでいます。LEO PNT技術は、将来の社会インフラの柱になる可能性を秘めています。
結び
古野電気とXona Space Systemsとの協力関係がどのような成果を生むのかが注目されます。新しい技術が私たちの生活をどう変えるのか、今後の展開に期待が高まります。