富士フイルムと堀場製作所が遺伝子治療薬の生産性を革新する機器を共同開発

富士フイルムと堀場製作所、遺伝子治療薬の生産性革新

富士フイルム株式会社と株式会社堀場製作所は、遺伝子治療薬の生産効率を大幅に向上させる新しい遺伝子導入装置を共同で開発しました。これにより、従来の生産法に比べて約100倍の生産性向上が期待されています。新技術は「連続エレクトロポレーション技術」と呼ばれ、2026年以降の販売を目指しています。

遺伝子治療薬の市場と課題

遺伝子治療薬は、病因となる遺伝子の異常を修正するために外部から遺伝子を細胞内に導入するバイオ医薬品です。現在、難治性疾患に対する治療法の一つとして、世界中で大きな注目を集めています。専門家の予測によれば、遺伝子・細胞治療市場は2030年までに年率約30%の成長を見込んでいますが、製造プロセスは複雑で非効率なため、技術的なハードルや高額な開発コストが課題となっています。

新たな技術の導入

富士フイルムは、このような課題に対応するため、遺伝子導入装置の開発を進めてきました。この装置は、制御された電圧を用いて細胞膜に小さな穴をあけ、遺伝子を直接導入する原理で動作します。この方法は、従来の化学薬品を用いる方法に比べ、反応過程が単純であるため、効率的に遺伝子を細胞内部に送り込むことが可能です。

また、装置はその名の通り「連続フローシステム」であり、少量から大量までの製造が可能です。これにより、治療薬の生産量を柔軟に調整でき、需要に応じてスピーディに対応することができます。富士フイルムと堀場製作所は、共に技術と資源を結集し、社会のニーズに応える製品を提供することに取り組んでいます。

企業の強みと社会貢献

富士フイルムは、製薬企業や患者支援に力を入れ、医薬品の開発から商業化までのプロセスをサポートしています。今回の技術開発は、患者に新たな選択肢を提供し、遺伝子治療薬が広く普及することを目指しています。堀場製作所は、多様な製造技術とデータマネジメント能力を持ち、バイオ・ヘルスケアの分野での成長に貢献することを目指しています。