チョコレートの喫食体験に関する新たな研究発表
森永製菓株式会社(本社:東京都港区)は、チョコレートを食べる際の体験が持つ情緒的価値と商品価値についての研究結果を発表しました。この研究は、株式会社NeUとの共同で進められ、2024年9月に開催される第26回日本感性工学会大会において披露される予定です。
研究背景と目的
食品がもたらす価値は、味や食感のみならず、パッケージのデザインや利便性など多岐にわたります。過去の研究では、食品の「品質」がヒトの感情に与える影響が注目されてきましたが、パッケージの形や包装方法を含む一連の食体験がどのように情緒的な影響を及ぼすかについての研究はあまり行われてきませんでした。そこで、今回の研究では、消費者がチョコレートを開封し、食べ終えるまでの体験を「喫食体験」と定義し、その価値を具体的に測定しようとしたのです。
研究手法
研究には市販のチョコレート3種が使用され、実験参加者は、脳血流や心電図を測定しながら、パッケージを開けから一粒を食べ終えるまでの一連の体験を行いました。体験終了後には、各自がどれくらい支払う意思があるかを示すWTP(Willinness to Pay)を記入してもらい、体験価値を評価しました。また、喫食体験中は生体情報も継続的に収集されました。
研究結果
実験の結果、森永製菓の製品Aは、市販の他の製品B・Cに対し、『おいしさ』や『高級感』、『贅沢感』をより強く感じることが明らかになりました。さらに、評価中の脳血流量が有意に上昇し、好ましいブランドを選択する際に活性化する脳の部位が確認され、これにより製品体験が情緒的価値に結びつくことが示唆されました。
今回の結果からは、チョコレートの開封から食べ終わるまでの過程がもたらす『本格感』や『高級感』が実体験に基づいて定量化できる可能性があることがわかりました。今後はもっと多くの一般消費者を対象にした調査により、食体験のさらなる探求が計画されています。
研究を通じた新たな視点
吉田マネージャー(株式会社NeU)は、この研究成果が食体験における情緒価値の科学的な理解を深めるものであり、特に開封から喫食までのプロセスがもたらす影響を明らかにしたことが重要だと述べています。これは、製品開発及びマーケティングにおいて新しい視点を提供するものになります。
森永製菓の今後の方向性
森永製菓は、「2030年にウェルネスカンパニーへ生まれ変わります」というビジョンのもと、心身の健康を重視した商品開発を進めています。情緒的価値が消費者の心理に与える影響を解明し、さらに付加価値の高いチョコレートを提供するための取り組みを続けていく予定です。