新たに誕生した「吾嬬町ウエスト」
墨田区京島三丁目北町会に、関東大震災から100年後という節目に新しい町会会館「吾嬬町ウエスト」が完成しました。この場所は地域住民の防災の拠点としてだけでなく、新たなコミュニティ形成の場としても期待されています。地域活性化や防災対策の観点からも重要な役割を果たすこの会館ですが、その内容や背景について詳しく見ていきましょう。
背景と必要性
京島三丁目北町会では、コロナ禍を乗り越える中、役員の高齢化と人数の減少が深刻な問題となっています。かつては20名の役員が活発な活動を行っていましたが、現在は10名まで減少。こうした状況の中、地域の防災意識を高めるために新たな会館を建設する必要がありました。
新設の会館の特徴
「吾嬬町ウエスト」は、以下の特徴を備えています。
1.
耐震等級3: 警察や消防所と同等の耐震強度を持つため、万が一の大災害時にも安心して避難できる構造です。
2.
水害対策: 浸水高さよりも高い場所に町会集会所が配置されており、屋上には緊急避難場所も用意されています。
3.
雨水利用: 環境への配慮から、雨水をトイレの洗浄水として活用するシステムが導入されました。
4.
地域の賑わい: 角地に位置することで、地域の交流スペースとしての役割を果たすと同時に、神輿が年中見えるよう設計されています。
5.
経済的効果: 地価の高騰の中、町会の協力で共同建設が実現。坪単価は95万円(設計料込)で、相見積もりや分離発注方式を用いることで33%のコストダウンを実現しました。
6.
節税効果: 納税や固定資産税の面で的確な戦略を立てることで、経費を大幅に減少させています。
7.
地域産業の活用: 地元の町工場と協力し、特注の大型扉を開発するなど地元産業の振興にも寄与しています。
8.
住民の期待: 123万円という多くの協力金が集まり、地域の皆さんの期待の高さを感じます。
難しい敷地条件
新しい会館の敷地は、京島三丁目の中心に位置し、交通の便も良い傾向にあります。一方で、既存の場所は道路に面する部分が非常に狭く、たったの2.7メートルしかない状況では新たな建設が難しいことが分かりました。そのため、地権者との縁をもとに新たな建物が共同で建てられることとなり、今回のプロジェクトが実現したのです。
建築概要
この会館の建築概要は以下の通りです。
- - 地域: 準工業地域で新たな防火規制区域に指定されています。
- - 敷地面積: 67.52㎡(20.42坪)
- - 建築面積: 48.37㎡(14.63坪)
- - 述べ面積: 139.11㎡(42.08坪)
- - 構造: 木造、地上3階建で、耐震性や防火性を兼ね備えています。
- - 設計監理: かなや設計により実施されました。
- - 施工: 分離発注方式により、細川工務店を含む6社が共同で施工しました。
- - 工期: 2023年2月16日から9月31日までの約7ヶ月にわたる工事で完成しました。
この「吾嬬町ウエスト」は、地域住民の安全や交流の拠点として、今後ますますの活用が期待されます。地域全体が一体となって防災に対する意識を高め、新たなコミュニティが育まれることを願っています。