陸前高田の防災学習民泊の取り組み
岩手県陸前高田市で展開されている防災学習民泊が、全国最大級の取り組みとして注目を集めています。このプログラムは、東日本大震災の教訓を生かしながら、地域住民と若者の交流を通じて、リアリティのある防災教育を提供しています。2025年度には、延べ2,884名の若者がこの民泊プログラムに参加し、春と秋の修学旅行を通じて、300名規模の受け入れを実現しました。
民泊プログラムの特徴
陸前高田市の民泊プログラムの最大の魅力は、震災という実際の経験を基にした防災学習です。生徒たちは、住民から震災の経験を聞くことによって、抽象的な知識ではなく、具体的な行動の重要性を学びます。たとえば、「逃げることの大切さを初めて実感した」という生徒の声は、リアルな体験から得た貴重な気づきを示しています。
地域全体で支える受け入れ体制
このプログラムには、約100家庭が参加しており、地域全体で支える体制を構築しています。これにより、課題でもある300名規模の一度に受け入れを可能にし、三陸沿岸でも数少ない成功事例となりました。参加した家庭からは、若者と交流することで自分たちも元気をもらっているという声も上がっています。
経済的な効果
さらに、民泊プログラムは地域経済に対しても良い影響を与えています。2025年度には、地域内で約18,136,500円が循環しました。市内の23の事業者が参加する「民泊クーポン制度」を導入することで、受け入れ家庭と地域事業者の消費を促す新たな仕組みも確立されており、地域全体が協力して経済を活性化しています。
高い評価を得るプログラム
生徒たちからの評価も非常に高く、春の生徒満足度は9.1点、秋は9.3点(共に10点満点)という高得点を獲得しています。これは、実体験を伴う防災学習だけでなく、地域の自然環境や食文化、生活に触れることができるためです。自然の中での生活体験や星空観察など、都市部では得難い経験が生徒たちに感動を与え、毎年「第二のふるさとができた」という声も寄せられています。
未来への展望
2026年度の修学旅行民泊は、さらに学校や教育関係者との連携を強化して再開を予定しています。地域の温かさを背景に、陸前高田の取り組みが全国的に広がっていくことが期待されています。
認定特定非営利活動法人SETは、陸前高田市での若者と地域の協働事業を通じて、防災教育や地域活性化を目指し活動を続けています。今後もこの草の根的な取り組みを全国に広めることで、震災の経験を未来へと繋げていくことが期待されています。