急性肝性ポルフィリン症の新たな治療法、givosiranの治験結果を発表

急性肝性ポルフィリン症と新薬givosiranの概要


急性肝性ポルフィリン症(AHP)は、遺伝的な要因によって引き起こされる希少疾患で、特に10代後半から40代前半の女性に多く見られることが知られています。この疾患は、激しい腹痛や嘔吐を伴う急性の発作が特徴であり、患者の日常生活の質(QOL)にも大きな影響を与えることがあります。これまでの治療法では限界があり、未承認薬であるgivosiranが新たな治療の選択肢として期待されています。

givosiranの治験について


Alnylam Japan株式会社は、givosiranの安全性、有効性、そしてQOL改善効果に関する最新の治験結果を発表しました。この治験は、患者への人道的見地から実施されたもので、多くの場合、有効な治療方法が存在しない疾患に対するものです。具体的には、AHPの患者に対し、月に一度2.5mg/kgのgivosiranが投与されました。

試験の結果、尿中アミノレブリン酸(ALA)濃度と尿中ポルフォビリノーゲン(PBG)濃度は安定して低値を保ちました。さらに、発作は10例中2例で発現しましたが、いずれも軽度で、ヘミンの使用や入院治療は必要ありませんでした。8人の患者が症状の改善を実感したと回答しており、givosiranがもたらす治療の可能性が示されました。

医師と患者の声


この研究の筆頭著者である名古屋第一病院の尾﨑信暁医師は、AHPの治療に関する日本人集団のデータが論文として発表されたことを喜び、「希少疾病への理解を深めることが重要であり、新たな治療薬の登場は患者にとって希望となる」と述べています。

Alnylamのメディカルアフェアーズ部長、シャーロット・エクスターゲンは、AHPに対するgivosiranの効果が確認されたことに感謝を示し、「遺伝性疾患であるAHPの認識向上が求められている」と指摘しました。AHPはその多様な症状から診断に時間がかかり、平均15年かかるともいわれています。このため、早期の診断と治療へのアクセスの改善が今後の課題となるでしょう。

まとめ


givosiranは急性肝性ポルフィリン症に対する新しい治療選択肢として、AHP患者に希望をもたらす可能性を秘めています。治療方法に乏しかったこの疾患に対し、新たに承認された薬剤がどのように患者の生活に影響を与えるか、引き続き注視していく必要があります。医療の進展が、未だ治療法のない疾患に対する新たな道を切り開くことを期待します。

会社情報

会社名
Alnylam Japan株式会社
住所
東京都千代田区丸の内1-11-1 パシフィックセンチュリープレイス丸の内11階
電話番号
03-6629-6200

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