中小企業の昇給実態
2025-08-05 16:24:16

中小企業の昇給制度がもたらす影響と2025年度実態調査

中小企業の昇給制度を巡る現状と2025年度の状況



中小企業における昇給は、労働者が企業を選ぶ際の重要な要素です。特に、2024年以降の物価高騰や最低賃金の上昇は、企業における昇給制度の見直しを迫っています。2025年度の高い昇給期待の背景には、厳しい経済環境が影響しています。

今回の調査は、2025年3月1日から31日までの間に、エフアンドエムクラブの会員企業を対象に実施されました。なんと、参加した企業は2,823社に上り、昨年と比べて約50%も増加しています。この調査により、中小企業の昇給制度の運用状況、昇給の実施予定、昇給率や昇給金額、さらには雇用形態による格差を多角的に分析しました。

調査結果の要点



2025年度の調査において、正社員に対して昇給を実施する(またはした)と答えた企業は78.0%と、前年度の76.0%から微増しました。全社員に対して昇給を実施すると答えた企業は53.5%、一部の社員にのみ実施するという企業は24.5%でした。これは包括的な昇給が見込まれつつある一方で、個別対応を行う企業も多いことを示しています。

昇給率については、最も多いのが「2〜3%未満」で、全体の26.3%を占めました。1〜4%未満の範囲では約7割が含まれており、業種や地域を問わず、安定した昇給が主流となっていることが特色です。昇給額については、「5,000円〜10,000円未満」が最も多く、全体の30.7%を占めています。業種別に見ると、特に医療・福祉では3,000円未満の昇給が多い一方で、不動産業では1万円以上の昇給が4割を超えています。このように、昇給額には業種特性が色濃く反映されています。

一方で、パートやアルバイトに対する昇給については、制度が十分に整備されていない企業も多く、「昇給を実施しない」と答えた企業が約4割にも達します。ただし、「最低賃金の引き上げに合わせて対応する」といった柔軟な反応も確認されています。パートの昇給率では、「1〜2%未満」が最も多く、全体の約7割を占めていますが、地域によっては差が大きく、北海道や東北地域では「5%」以上の昇給率が確認されています。

まとめ



最近の毎月勤労統計調査によると、名目賃金の現金給与総額は前年比で+2.4%にとどまり、実質賃金は−1.8%と、生活物価の上昇に追いついていません。このため、中小企業にとって昇給は「選択肢」ではなく、「不可避な制度対応」へと変化しつつあります。制度の透明性や一貫性は、企業の競争力に直結します。

昇給は、企業の人事理念や働き方の方向性を示す重要な指標です。したがって、正社員と非正規社員の評価基準を統一し、評価制度全体を見直す中で、昇給の意味を再定義することが急務です。外部支援制度の活用も中小企業にとって重要な手段です。人材確保が厳しい中、このような制度の整備は不可欠であり、昇給は持続的な競争力を保つための鍵となります。今後、中小企業の経営において昇給が戦略の一環としてどのように位置づけられるかが大きな焦点となるでしょう。

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会社情報

会社名
株式会社エフアンドエム
住所
大阪府吹田市江坂町1-23-38F&Mビル
電話番号
06-6339-7177

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