豪州におけるガリウム生産の新たな取り組み
双日株式会社は、2023年10月に独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同で、ガリウム生産に向けた調査を行うことを発表しました。この取り組みは、豪州に所在するアロコア(Alcoa)という世界最大級のアルミナ生産者と協力し、同国のアルミナ精錬所でのガリウム生産に関する新たな事業を展開するものです。この合意により、双方は2025年末までに事業化の最終判断を行う予定で、もし進展があれば2026年には生産を開始する見通しです。
ガリウムの重要性と用途
ガリウムは自然界では単体で存在することはなく、主にボーキサイトや亜鉛鉱石に微量で含まれている元素です。この金属は、特にLEDや太陽光発電セル、化合物半導体の製造に不可欠であり、半導体業界の成長に支えられ今後、全世界で需要が拡大すると見込まれています。日本政府や豪州、米国、欧州などの重要鉱物として位置付けられているのもそのためです。
共同調査の内容と目的
この共同調査は、双日がJOGMECと共に合弁会社を設立し、Alcoaと連携して行われます。西豪州に位置するアロコアの稼働中のアルミナ精錬所で、ガリウムを副産物として生産する設備を新たに開発する計画です。ボーキサイトから生成されるアルミナや亜鉛の精製過程で、ガリウムを効果的に回収する技術が重要となります。このプロジェクトを通じて、安定的で持続可能なガリウム供給を目指しています。
双日の未来へのビジョン
双日は、金属・資源分野においてカーボンニュートラル社会の実現や、新興国の成長支援に寄与する中で、デジタル化の影響下にある半導体や電池材料向けの重要鉱物の確保を目指しています。本事業もその一環として、長期的に安定した資源の供給体制を構築することを目指しています。
Alcoaについて
アロコアは1961年に設立され、オーストラリアのパースに拠点を置いています。主にボーキサイトの採掘とアルミナ・アルミニウムの生産を行っており、業界ではその技術力と市場力が評価されています。アロコアの代表者であるエルサブ・ミュラー氏は、このプロジェクトが持続可能な未来への鍵であると語っています。
この共同調査によって、双日とJOGMEC、アロコアはガリウム供給の新たなサプライチェーンを構築し、エコシステム全体の安定性向上に寄与することが期待されています。