自然界の美を追求する宝寿窯の焼き物
佐賀県武雄市にある宝寿窯は、毎年恒例の「有田陶器市」が新型コロナウイルスの影響で中止となった今年、オンラインでの参加を決定しました。4月29日午前9時からスタートするこの「WEB有田陶器市」では、陶器愛好家たちと直接意見を交わす新たな試みを行います。宝寿窯の焼き物は、他の追随を許さないオリジナリティのある作品として知られています。特に自然界で見られる偶然の模様を表現することに力を入れ、人間の作り出すデザインとは異なる、自然の美しさをそのまま器に取り入れています。
宝寿窯の特徴的なシリーズ
cerawood(陶木)シリーズ
このシリーズは、実際の木の木目を石膏で写し取る技法を用いており、見る方向によって異なる木目の表現が楽しめます。陶器でありながら本物の木のような見た目を持ち、水に濡れても腐る心配がないため、サボテンや多肉植物を植えるのに最適です。
パピルスシリーズ
ここでは、紙が丸められた際にできる自然なシワを再現したテクスチャーが特徴的です。周囲には800度で焼き付けた白金彩が施され、耐久性もあり、長期間美しいまま使用できます。
裂器(れっき)シリーズ
このシリーズは、田んぼの表面が干上がったときの裂け目を表現しており、火山の噴出物であるMagmaをイメージした釉薬も使用され、特異なデザインが生み出されています。サイズも一人用小鉢として使いやすく、用途も多岐にわたります。
武雄焼の魅力と宝寿窯の歴史
武雄焼は、有田焼や伊万里焼と並ぶ佐賀県の代表的な焼き物であり、独自のスタイルが確立されています。元々は唐津焼に端を発し、時代と共に進化し続けています。宝寿窯では、この武雄焼の特性を最大限に活かし、地元の自然に根付いたデザインを持つ作品を制作しています。
窯主の山本文雅さんは、1963年に伊万里市で生まれ、1989年にサージマリジス賞を受賞。以来、数多くの個展を開催し、独自のスタイルを追求しています。特に、彼は自然が生み出す模様に魅了され、その美しさを器に取り入れることに執念を燃やしています。
「自分が本気で好きなものを一点一点作り続けるのが理想」と語る山本さんの情熱は、焼き物に対する深い愛情と理解を育んでいます。彼の言葉にある『無駄に心を込める美学』は、宝寿窯の作品にしっかりと反映されています。
連絡先情報
宝寿窯の詳しい情報や作品については、以下の連絡先でお問い合わせいただけます。
このように、宝寿窯の焼き物はどれも独自の魅力を放ち、愛好家たちに新たな感動を提供しています。WEB有田陶器市での出展を通じて、より多くの人々にその魅力を届けることを期待しています。