三菱重工の新技術
2024-09-18 18:49:12

三菱重工が欧州初のCO2回収プラントをイタリアで稼働開始

三菱重工業、イタリアでのCO2回収プラントを開設



三菱重工業が開発したCO2回収技術「KM CDR Process(TM)」を用いた新たなプラントが、イタリア・ラヴェンナ県、カサルボルセッティに設置され、稼働を開始しました。これは欧州初となる燃焼排ガスからのCO2回収を実現したフルスケールのプラントです。プロジェクトは、イタリアの大手エネルギー企業Eni社とSnam社が共同で推進するCCS(炭素回収・貯留)プロジェクト「ラヴェンナCCS」の初めのステップとなります。

このプラントの主要な目標は、年間約25,000トンのCO2排出量を削減することです。具体的には、ターボコンプレッサ用の天然ガスタービンから発生する排ガス中のCO2を最大96%まで回収する能力を持っています。このプロジェクトでは、ENI社とSnam社が協力し、イタリア国内初のCO2回収・貯留の試みを行っています。

技術背景とプロジェクトの進展



三菱重工業は、イタリアのエンジニアリング企業MAIRE社傘下のNEXTCHEM社を通じ、CO2回収技術のライセンスを提供するとともに、基本設計パッケージも供給しました。NEXTCHEM社は、同じくMAIRE社のKT社と協力し、設計から建設までの工程を整え、プラントとしての納入を行っています。この技術により、低圧の排ガスや低濃度のCO2でも高い回収効率が実現されたことは特筆に値します。

環境への貢献と重工業の取り組み



この新しいプラントの稼働は、産業部門の脱炭素化に向けた重要な前進を示しています。回収されたCO2は、専用のパイプラインを通じて約3,000メートルの水深にあるEni社のPorto Corsini Mare Ovest枯渇ガス田に搬送され、貯留される予定です。このプロジェクトの次段階では、2030年までに年間最大400万トンのCO2を貯留する目的で、さらなる開発が進められます。

三菱重工業グループは2040年のカーボンニュートラル達成を目指し、エネルギーの需要と供給両面から脱炭素化に向けた施策を展開しています。その一環として、CO2排出源と貯留・再利用を結びつけたCCUS(炭素回収、利用、貯留)バリューチェーンの構築を進めており、環境保護に寄与する技術の開発に引き続き注力します。

今後の展望



三菱重工のCO2回収技術は、1990年から関西電力との協力のもとが育んできたものであり、現在までに18基のプラントを納入しています。また、最新版のAdvanced KM CDR Processにより、さらなる省エネルギー性能とコスト削減を実現しています。そのため、これからも多様なCO2排出源からの回収に活用されることが期待されています。

この新たな取り組みは、環境問題への解決策を提供するだけでなく、世界的な温室効果ガスの削減に寄与できる重要なプロジェクトです。


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会社情報

会社名
三菱重工業株式会社
住所
東京都千代田区丸の内三丁目2番3号丸の内二重橋ビル
電話番号
03-6275-6200

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