ゼロゼロ融資返済本格化、債務整理を検討すべき理由とは
新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に提供される「ゼロゼロ融資」は、無利子・無担保での融資制度ですが、その返済が本格的に始まっています。多くの事業者が経済的な困難に直面する中、債務整理の必要性が高まっています。
ゼロゼロ融資とは
ゼロゼロ融資は、コロナ禍で売上が減少した個人事業主や中小企業を支援するために設けられた制度です。2020年に開始され、政府系金融機関では2022年に、民間金融機関では2021年に受付が終了しました。この制度では、個人事業主は最大8,000万円、中小企業は最大6億円を実質無利子で借り入れることが可能で、万が一返済が困難になった場合でも、信用保証協会が元本の最大8割を立て替える仕組みです。ただし、利子免除は最初の3年間のみで、4年目から利子が発生するため注意が必要です。
ゼロゼロ融資利用実態
日本国内では、コロナウイルスの感染者が報告され続ける中、中小企業庁のデータによると、2020年1月から2022年2月の時点で、日本公庫と信用保証協会からそれぞれ約97万件(約16兆円)と195万件(約37兆円)の保証が行われました。
多数の事業者が資金を受け取りましたが、業種別で見るとサービス業が最も多く、建設業や卸・小売業が続きました。現在、政府系金融機関では返済を開始した企業が約8割に達していますが、民間融資の返済開始はこれからで、ピークは2023年7月から2024年4月にかけてと見込まれています。
それでも、貸付総額の約19兆円に対して、回収不能な債権が約1兆円に及ぶことが懸念されています。原材料の値上げや円安など、経済環境の変化が影響を及ぼし、事業者の資金繰りは厳しさを増しています。
倒産件数の増加
帝国データバンクによると、ゼロゼロ融資を受けた企業の倒産件数は年度を追うごとに増加しています。具体的には、2020年度は15件、2021年度は167件、2022年度には384件に達しました。返済が本格化する中で、業績の長期的な不振により過剰債務に陥る企業が増えつつあり、特に原材料や人件費の高騰が影響しています。「あきらめ倒産」や「息切れ倒産」の増加が懸念される状況です。
個人事業主の実情
個人事業主もまた、経済的な困難に直面しています。事業の規模が小さいため、業績回復には時間がかかることが多く、据置期間中に資金を使い果たしてしまう事例が見受けられます。再生型倒産の中でも、民事再生を選択した個人事業主が増えていることが示されています。経済的に厳しい状況にある事業者は、返済だけでなく、他の負担軽減方法を模索する必要があります。
ゼロゼロ融資返済の対策
ゼロゼロ融資の返済に苦労している事業主には、債務整理が一つの解決策として推奨されます。債務整理とは、借金を減額または免除するための法的手続きで、任意整理、個人再生、自己破産の3つが主な手法です。
- - 任意整理:貸金業者と直接交渉し、借金を減らす手続き。
- - 個人再生:裁判所を利用して債務を大幅に減らす手続きを行う。
- - 自己破産:裁判所を通じて債務を全額免除してもらうこと。
これらの手続きは専門家に相談することで、よりスムーズに進められることが期待されます。弁護士や司法書士のサポートを受けることが重要です。
まとめ
ゼロゼロ融資の返済が本格化する中、多くの個人事業主や中小企業が経済的な困難に直面しています。債務整理という選択肢を考え、適切な手続きを行うことで、将来への道を開くことができるかもしれません。この記事が、ゼロゼロ融資の返済に悩む方々の一助となれば幸いです。