免疫力を支える乳酸菌
2025-07-25 15:26:14

キリン独自の乳酸菌が高温条件下で免疫力をサポートする新発見

近年、熱中症の脅威が増している中、キリンホールディングス株式会社のヘルスサイエンス研究所は、注目の研究成果を発表しました。その内容は、キリンが独自に開発した乳酸菌「L.ラクティスプラズマ」と呼ばれる素材が、高温状態における免疫細胞の働きを保つ可能性を明らかにしたもので、特に注目されているのがプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)への影響です。

この研究では、ヒト由来のpDCを通常の体温である37℃と、少し高めの38.5℃で培養し、それにインフルエンザウイルスH1N1を添加した際の免疫応答を比較しました。その結果、通常温度である37℃ではインターフェロンαの生成が確認されたものの、高温条件のもとではその生成が明らかに抑制されてしまうことが分かりました。これは、高温環境下ではpDCの機能が低下し、ウイルス感染に対する防御力が損なわれることを示しています。

しかし、驚くべきことに、「乳酸菌L.ラクティスプラズマ」を添加した場合、高温でも環境下でインターフェロンαの生成が著しく向上し、37℃での生成量の約25倍となることがわかりました。そのため、乳酸菌の添加は高温条件下でも免疫細胞の機能を維持する有効な手段としての可能性を秘めています。

この発見は特に重要です。熱中症に伴う健康リスクが増大する中で、免疫機能を保持することは、体を守る上で欠かせない要素とされています。特に、熱中症は脱水と体温上昇によって引き起こされ、多臓器不全などを引き起こす危険な状態です。今回の研究によると、免疫系が適切に機能しない場合、エンドトキシンと呼ばれる腸内の毒素が拡散し、重症化を招く恐れもあるため、乳酸菌による免疫ケアが極めて重要です。

また、医学博士の西﨑泰弘氏は、熱中症対策においては水分補給と免疫のサポートが重要であると警告しています。彼によれば、熱中症による死因として多いのは多臓器不全であり、適切な予防策が求められます。特に近年の気候変動により、猛暑の予測が立てられているため、日常的に免疫を高める手段としての乳酸菌の摂取が推奨されています。

キリングループは、2027年に向けた方針を策定し、ヘルスサイエンス事業の発展を進めています。「食から医にわたる領域で価値を創造し、皆の健康を守る」ことを目指す中、プラズマ乳酸菌を使用した商品提供を通じ、免疫ケアを支援し、健康で活力あふれる社会の実現を追求しています。

この研究結果は、2025年7月29日、東京大学で開催される「微生物ウィーク2025」にて発表される予定です。最新の研究成果がどのように実社会に生かされるか、今後の動きに注目が集まります。


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会社情報

会社名
キリンホールディングス株式会社
住所
東京都中野区中野4-10-2中野セントラルパークサウス
電話番号
03-6837-7000

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