400年の伝統を新たに受け継ぐ「HAJIME」、若狭塗箸の未来を切り拓くブランド誕生

新ブランド「HAJIME」の誕生

カワイ株式会社は、福井県小浜市を拠点にする企業であり、400年にわたる日本の伝統工芸品である若狭塗箸の製造に力を尽くしています。2025年3月27日、新たに誕生するブランド「HAJIME」は、若狭塗の技法を次世代に継承するための試みです。今日の多様な価値観やライフスタイルに対応しながら、若狭の伝統を広げていく意図が込められています。

「HAJIME」の背景

若狭塗箸の生産は、日本の塗箸市場の60％〜70％を占めていますが、職人の高齢化や市場の変化が進む中、伝統的な技術の価値が薄れてきています。この状況を受けてカワイ株式会社は「HAJIME」というブランドを立ち上げました。このプロジェクトは、若狭塗箸の魅力を再発見し、再び生活に取り入れてもらうための取り組みです。「守る」だけでなく、「育てる」という姿勢が重要となります。

ブランドの特長

1. 伝統と革新を融合したシリーズ展開

「HAJIME」は、若狭塗箸の伝統を受け継ぐ「古（INISHIE）」シリーズと、革新的なデザインを追求した「異彩（ISAI）」シリーズの2つを展開しています。これにより、若狭塗の悪化する市場状況に対抗し、職人の手による手間を惜しまないクラフトマンシップをアピールしています。一般的な箸が10回程度の工程で完成するのに対し、HAJIMEの箸は100を超える工程を経て仕上げられます。

2. 日常使いできる親しみやすさ

従来の若狭塗箸には、敷居の高さを感じることが多いですが、「HAJIME」はそのイメージを打破し、もっと日常で楽しめるアイテムへと変えます。伝統工芸を身近に感じられるよう、気軽に手に取れるカトラリーとしての魅力を追求しています。

3. 職人とユーザーをつなげる意味

ブランド名「HAJIME」は、漢数字の「一」に由来しており、箸の生産地から食卓までのストーリーが一本につながることを示しています。企画、製造、販売という様々な段階で関わる人々が一つのプロダクトに込められた思いを伝えます。丁寧に育まれた木地が、多くの手を経て一つの箸に生まれ変わり、皆様の生活に溶け込む様は、まさに一つのアートです。