ENEOSとデザミスによるGHG排出削減の取り組み
現在、気候変動が深刻な問題として私たちの前に立ちはだかっています。この対策の一環として、畜産業に起因する温室効果ガス(GHG)の排出削減が欠かせないものとなっています。特に、日本においては、2021年に農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」がこの問題に正面から取り組んでいます。それを受けて、ENEOSホールディングス株式会社(以下、ENEOS)とデザミス株式会社(以下、デザミス)が協力し、新たなプロジェクトを開始しました。
プロジェクトの概要
この協業の第一歩となるのが、「クラウドデータを活用した乳用牛及び肉用牛の栄養バランス改善飼料の給餌プロジェクト」です。このプロジェクトは、乳用牛及び肉用牛が排泄する際に発生する一酸化二窒素(N₂O)というGHGの排出量を削減することを目的としています。
具体的には、デザミスが提供するアミノ酸バランスを整えた飼料を牛に給餌し、牛の体内でタンパク質として利用されないアミノ酸由来の窒素化合物の排泄を減少させることによって、N₂Oの発生を抑制します。また、デザミスはこの削減量をJ-クレジットとして認証し、ENEOSはそのクレジットを購入する形で協力します。さらに、デザミスは得られた収益を用いて、生産者に対する還元を行います。
地元生産者との連携
本プロジェクトでは、参加する生産者が管理する牛の頭数や飼養日数といったデータが必要です。このデータを効率的に収集するために、デザミスはU-motion®というIoTシステムを導入しています。このシステムは、牛に取り付けたセンサーを用いて牛の行動を観察し、クラウドにデータを収集します。これにより、生産者は日々の飼養管理の負担を軽減しつつ、N₂O排出削減の対価を受け取ることができます。
今後の展望
ENEOSとデザミスは、今後全国の乳用牛・肉用牛を飼養する生産者に対して本プロジェクトへの参加を呼びかけ、取り組みを拡大する方針です。また、畜産IoTソリューションをさらに活用し、持続可能な畜産業の実現に貢献していくことを目指します。
ENEOSとデザミスの企業理念
ENEOSホールディングスは、「今日のあたり前」を支えつつ、「明日のあたり前」をリードすることを企業理念とし、持続可能な社会の実現に向けた挑戦を続けています。一方、デザミスは「農家とともに次のステージへ」というビジョンを掲げ、牛の行動をモニタリングするIoTシステムを通して、持続可能な畜産の実現に努めています。これらの取り組みは、企業の枠を超えて未来の環境を守るための大切なステップです。今後の進展に関心を持って注目していきましょう。