人間の意識を機械にアップロードする新たな挑戦
株式会社MinD in a Deviceは、2023年10月に行ったシードラウンドの資金調達により、20年後の人間の意識を機械にアップロードする事業のための大規模な研究開発を推進しています。代表取締役の中村翼氏は、技術顧問の渡辺正峰氏(東京大学大学院准教授)と共に、この構想を実現するための第一歩として「生成モデル」を実装した次世代型AIを開発することを目的としています。
この新しいプロジェクトは、意識に関する科学的研究を基にしており、人々が今後どのように生きるかに影響を与える可能性を秘めています。意識のアップロードは、単に情報を機械に移動させるだけでなく、機械内で新たな意識を形成することを目指しているのです。
意識のアップロードとは?
意識のアップロードは、人間の意識を機械に移し込むことを意味します。渡辺氏は、『脳の意識 機械の意識』という著書の中で、意識は「生成モデル」によって生み出される仮想現実であると述べています。脳は外界の感覚情報と内部の仮想現実を融合させ、意識を生み出しているのです。このモデルを使用することで、ニュートラルな意識を持つ機械との接続が可能になり、意識の一体化が実現すると考えられています。
生成モデルの特徴
「生成モデル」は、低次の入力情報から高次の結果を生成するプロセスで、外界の対象をシミュレートする仕組みを持っています。これにより、理解や知識が積み重ねられ、推定の精度が向上します。しかし、現在のところこの技術は研究段階にあり、実用化には至っていません。MinD in a Deviceは、この生成モデルを活用し、医学や自動運転、宇宙など、多くの専門分野での利用を見込んでいます。
今後の展望
今回の資金調達により、同社はさらに研究開発を進め、新たなエンジニアの採用を行う予定です。提携先として富士通や名古屋大学などの企業・団体が名を連ねており、その知見を活かしながら事業化を加速していく方針です。意識のアップロードは、究極的な選択肢として不老不死を求める人々に新たな可能性を提供し、未来の生き方を変える力を持つと期待されています。
まとめ
MinD in a Deviceの挑戦は、人間の意識についての新しい考え方や技術的な進展をもたらす可能性を秘めています。意識のアップロードが実現すれば人々の死生観は大きく変わり、生命の意味や価値について新たな視点を提供することでしょう。今後の研究開発の進展が注目されます。
【参考文献】
- - 渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』中央公論新社
- - Science誌などの論文を通じた意識の研究成果