耕作放棄地再生の切り札、ソルガムの成長に期待!
愛媛県松山市に拠点を置くNPO法人刀と西条農業高等学校が共同で実施しているソルガムの育成実験が、開始から約2か月半を迎えました。
この実験は、愛媛県が抱える深刻な耕作放棄地の課題解決を目指し、持続可能な農業の未来を探る試みです。乾燥に強く、成長力も高いソルガムに着目し、耕作放棄地を有効活用するための栽培方法や活用方法を研究しています。
愛媛県は、全国で3番目に多い荒廃農地面積を抱えています。傾斜地や小さな島が多く、効率的な農地集積が難しいという地理的な要因に加え、人材不足による農地管理の困難さなどが深刻化しています。
NPO法人刀は、このような耕作放棄地を有効活用し、地域農業の活性化に貢献したいと考えています。その取り組みとして、ソルガムの栽培実験を開始しました。
土壌 vs 傾斜地、ソルガムの成長に差は?
実験では、ソルガムの生育場所を「耕した土壌」と「耕さずにばら撒いた傾斜地」の2パターンに分けて比較しています。
①耕した土壌
約1か月半が経過した耕した土壌では、穴を掘って等間隔に植えたソルガムは順調に成長し、発芽率も高くなっています。
一方、ばら撒きで種を蒔いた場所では、雑草に紛れてしまい、現状ではソルガムの生育状況が分かりづらい状況です。
②耕さずにばら撒いた傾斜地
約2か月半が経過した傾斜地では、発芽率は耕した土壌に比べて低く、直播後すぐに降った大雨の影響で種が流された可能性があります。しかし、発芽したソルガムは、害虫被害もなく順調に成長している様子が見られます。
害虫被害は?
実験の結果、興味深いことに、ソルガムの生育場所によって害虫被害に違いが見られました。
耕した土壌で栽培されたソルガムでは、葉の先端が茶色く変色するなどの害虫被害が見られました。一方、傾斜地では、ソルガムは害虫被害を受けていませんでしたが、周囲の雑草は害虫被害を受けていました。
ポットまきとの比較
実験では、ポットに種を蒔いて育苗したソルガムを、耕した土壌と傾斜地の2箇所に移植する試験も行われました。しかし、ポットまきで育苗したソルガムは、直播したものに比べて成長が遅れていることがわかりました。
今後の展開
今回の実験では、ソルガムの生育場所や周囲の雑草の種類によって、害虫被害に違いが見られることが分かりました。
今後は、肥料の種類を変えて比較実験を行う予定です。収穫は9~11月頃を予定していますが、生育状況によって前後する可能性があります。
NPO法人刀は、西条農業高等学校と連携しながら、ソルガムの育成実験を継続し、耕作放棄地の有効活用に向けた研究を進めていきます。