シリア虐殺:安保理の対応は?
2012-05-30 18:44:51
シリア・ホウラ虐殺:国連安保理の対応にアムネスティ国際が強い懸念
シリア・ホウラ虐殺:国連安保理の対応にアムネスティ国際が強い懸念
2011年4月以降、シリアでは内戦が続き、多くの犠牲者が出ています。2023年5月25日、シリア中部ホウラで発生した虐殺事件は、その悲惨さを改めて世界に突きつけました。この事件を受け、国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルは、国連安保理の対応の遅さと不作為を強く批判しています。
アムネスティの報告によると、5月25日、シリア政府軍による激しい攻撃により、少なくとも108人が死亡。その中には、女性34人、子ども50人も含まれていました。目撃証言によると、シリア軍は住宅街に砲弾、迫撃砲、ロケット弾を集中砲火。多くの民間人が、理不尽な攻撃によって命を奪われました。
特に衝撃的なのは、犠牲者62人がアブド・アル・ラザグ族出身者だったことです。子どもの中には、ライフル銃の銃床で頭蓋を砕かれたとみられる遺体もあったとのことです。
アムネスティ中東・北アフリカプログラム副部長フィリップ・ルーサー氏は、「ホウラで多くの女性や子どもを含む民間人が犠牲になりました。安保理は一致して行動を起こし、直ちにシリアの事態を国際刑事裁判所(ICC)に委ねるべきです」と強い口調で訴えました。
国連安保理は事件を非難する声明を発表しましたが、具体的な行動は未だとられていません。アムネスティは、安保理がロシアの妨害を阻止し、ICCへの付託を支援するよう求めています。
この事件は、シリア内戦の深刻さを改めて示すものです。政府軍による人権侵害は、過去14ヶ月間にわたって繰り返されており、いまだに責任追及がなされていません。アムネスティは、国連監視団の規模と機能を拡充し、国際調査委員会の入国を認めるよう、シリア政府に強く求めています。
また、アムネスティは2011年4月以降、シリア政府による人権侵害を繰り返し非難してきました。その間、約9750人が殺害され、その中には700人以上の子どもも含まれていると報告しています。
今回のホウラ虐殺は、シリア内戦における人道危機の深刻さを改めて浮き彫りにしました。国際社会は、シリア政府による人権侵害を放置せず、責任追及と平和的解決に向けて、具体的な行動をとる必要があります。アムネスティの指摘通り、国際刑事裁判所への付託は、正義の実現に向けた重要な一歩となるでしょう。
シリア政府は、事件を「アル・カイダにつながるテログループの仕業」だと主張していますが、アムネスティは、政府による内部調査では有益な結果を期待できないとしています。
この事件は、シリアだけでなく、世界中の人権問題を考える上で、重要な教訓となるはずです。私たちは、このような悲劇が二度と繰り返されないよう、国際社会全体で努力していく必要があるでしょう。
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