名古屋市立大学とデジタルスタンダード、AIで歩行障害を解析!
最近、(株)デジタルスタンダードと名古屋市立大学が共同開発したアプリ『Gait Analyzer Insight (G-AI)』が話題になっています。このアプリは、iPhoneを利用して歩行の動作をAIが解析し、すり足歩行や小刻み歩行、開脚歩行などの異常な歩行パターンを定量化することができます。これにより、特に診断が難しいハキム病(特発性正常圧水頭症、iNPH)の早期発見が期待されています。
ハキム病とは?
ハキム病は、脳内に水(脳脊髄液)がたまり、脳を圧迫することによって起こる病気です。この病気は歩行障害や認知障害、さらには切迫性尿失禁といった様々な症状を引き起こし、進行すると日常生活に大きな影響が及ぶことがあります。治療には、脳内の脳脊髄液を排除することが必要ですが、症状が進行すると自立した生活を取り戻すことが難しくなるため、早期の発見と治療が非常に重要となります。
AI技術で歩行異常を定量化
これまで、すり足歩行や小刻み歩行の評価は医師の主観に依存しており、判定にばらつきがありました。また、従来の歩容解析は高価な装置や複雑な準備が必要だったため、実用的ではありませんでした。しかし、G-AIは三次元動作解析のAI技術を用いることで、頭部から足先までの動きをリアルタイムで解析し、異常な歩き方を数値化します。
具体的には、足の運び方や開き具合を数値で評価できるため、医療現場における診断精度が飛躍的に向上することが期待されています。AIは、過去に自社が作成したデータセットを学習しており、精度の高い評価を可能にしています。
例えば、左右の股関節の平均可動域角度が30度未満であれば「すり足歩行」とされ、左右の膝関節の平均可動域角度が45度未満であれば「小刻み歩行」と判定されるといった具合です。これにより、歩行障害の判定が客観的に行えるようになります。
未来の医療への貢献
デジタルスタンダードと名古屋市立大学は、この技術を活用して、ハキム病の診断精度を向上させるだけでなく、今後は歩行機能や認知機能に関連するAI技術やアプリの開発を充実させていく方針です。医療の質の向上と人々の健康維持に貢献することが目指されています。
ダウンロード情報
最新のG-AIアプリは、Apple Storeからダウンロードすることができます。また、公式ホームページにも詳細な情報が掲載されていますので、ぜひチェックしてみてください。
この新たな技術は、医療の現場に革新をもたらす可能性を秘めています。患者に優しい医療の実現へ向けて、今後の展開に注目が集まります。