地域経済活性化に向けた自治体の“地域通貨”と“プレミアム商品券”調査結果発表

地域経済の未来を探る

2023年、一般社団法人自治体DX推進協議会が地域通貨とプレミアム商品券に関する実態調査を行い、その結果を公開しました。この調査は、全国158の自治体から得たデータに基づいており、地域経済の活性化を目的としたDX（デジタルトランスフォーメーション）を検討する上での重要な指標となるでしょう。

調査背景と目的

地域通貨やプレミアム商品券は、その運用によって地域独自の経済を支える可能性を秘めています。しかし、調査の背後には、これらの導入や運用に対して多くの自治体が直面している課題があります。これを明らかにすることで、今後のデジタル化推進のための示唆を提供することを狙いとしています。

調査の概要

調査は2024年9月から10月にかけて行われ、全国の自治体を対象にウェブアンケート形式で実施されました。回答を寄せたのは158自治体で、導入状況や課題についてのデータを収集しました。

地域通貨の導入状況

調査結果によると、地域通貨未導入の自治体が60.1%を占める一方で、導入済みが15.8%、導入予定ありが5.1%、検討中が19.0%でした。つまり、約40%の自治体が前向きな姿勢を見せています。しかし、課題として「利用者の獲得・維持」（72.7%）や「システム運用コスト」（69.7%）が挙げられ、初期投資コストの高さや運用ノウハウの不足が大きな障壁となっています。

プレミアム商品券のデジタル化

プレミアム商品券においても、56.3%が紙のみで実施しており、デジタル化が進んでいないことが分かります。デジタル化済みの自治体は20.9%、検討中の自治体は11.4%しかなく、大きな課題として「住民の利用促進・デジタルデバイドへの対応」が63.2%の自治体で挙げられています。デジタル化検討においては、住民のデジタル対応が進んでいないことが顕著に表れています。

キャッシュレス対応状況

キャッシュレス対応が進んでいるとされる自治体は22.8%に留まり、残りの多くが支援なしの状態です。また、約半数の自治体がキャッシュレス促進の説明会参加に前向きな意向を示していることから、情報共有のニーズが高いことが伺えます。

BPO（業務委託）の現状

地域通貨やプレミアム商品券の業務にBPOを活用する自治体は約24.1%であり、多くの自治体が業務を自営していることが明らかになりました。委託の内容は「発行・印刷」、「配布・販売」、「換金処理」が中心となっており、これらの業務効率化が求められています。

課題と今後の展開

調査から浮かび上がったのは、地域通貨とプレミアム商品券のデジタル化の必要性。一方で、初期投資や運用コスト、ノウハウの不足、デジタルデバイドといった課題も指摘されています。今後は、段階的なデジタル化の推進、高齢者への支援体制の強化、地域事業者への支援などが鍵となります。

成功事例の共有や具体的な対策の情報が求められている中で、自治体間のコラボレーションが重要です。デジタル化に関してのセミナーや情報交換会を通じて、効果的な取り組みを進めることが期待されます。