愛知県知立市が契約事務のAI導入へ向けた実証実験を開始

愛知県知立市で契約事務のAI実証実験が開始

2025年12月1日、愛知県知立市は株式会社divxと共同で契約事務に関するAIによる業務効率化の実証実験を開始しました。株式会社divxは2021年に設立され、AIを活用したサービス開発に取り組む企業であり、地方自治体向けのデジタル化推進に力を入れています。

実証実験の背景

知立市では、契約事務に関連する文書が約250ファイルも存在しており、役所内に分散しているため、必要な情報を見つけ出すのが容易ではありません。特に、新しく配置された職員は、これらの契約ルールについての理解が不十分であるため、時間がかかることが一般的です。これにより、職員が本来の業務に集中できず、効率が悪化していました。こうした課題を解決するため、生成AIを用いた情報検索の効率化に挑戦することになったのです。

実証実験の詳細

この実証実験では、主に契約事務に関連する庁内問い合わせの効率化を目的としています。AIはRAG（Retrieval-Augmented Generation）技術を利用して、契約文書へ適切なアクセスを行い、職員が迅速に必要な情報を入手できるように設計されています。この実験には約30〜40名のコアユーザーが参加し、最終的にはPCを用いる約320名の職員が利用できる環境の構築を目指しています。

実証実験の期間は2025年12月からスタートし、AIを活用することで実務における時間削減と業務負担軽減を図ります。これは、職員が市民サービス向上により集中できるようにするための施策です。

期待される効果

今回の実証実験には多くの期待が寄せられています。具体的には、以下のような効果が見込まれています：

- 業務効率化： AIを通じて問い合わせへの即時回答が可能になり、職員が迅速にルールを確認できるようになります。
- 文書検索時間の短縮： 専門的な文書を自動的に検索できるため、手間が削減されます。
- 業務負担軽減： 全庁からの集中した問い合わせが少なくなり、契約担当部署の効率が上がります。

今後の展望

知立市企画政策課長の伊藤慎治氏は、「本市が目指す『誰一人取り残されない』デジタル社会の実現に向け、庁内DXの推進は不可欠」と述べ、AIによる契約事務の効率化が重要なステップであると強調しています。実証実験の結果に基づき、今後は他の自治体にもこの技術を展開する計画が立てられており、契約事務以外の分野への応用も検討されています。