JAXA、東京大学、国立天文台、サイバネットが高機能材料の共同研究を開始
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、国立大学法人東京大学、大学共同利用機関法人自然科学研究機構の国立天文台、そしてサイバネットシステム株式会社は、積層造形技術を駆使した高性能・高機能材料の設計支援技術の確立を目指し、共同研究を開始しました。今回の研究は、先進的な製造や設計、解析技術を活用し、特に航空宇宙や医療分野において実用化を図ることに注力しています。
共同研究の背景
業界では、3Dプリンタ技術の進展に伴い、環境に優しく、高機能な素材の開発が進んでいます。しかし、日本国内では設計や解析の基盤が十分に整備されておらず、初期投資や品質保証の観点から、欧米の産業に比べて実用化が遅れています。これを克服するためには、造形プロセスから製品評価に至るまでの一貫した設計理念の確立が必要です。
共同研究の目的と技術課題
本共同研究では、積層造形における造形パラメータや設計形状から、最終製品の特性を高効率で予測する技術の開発に取り組むほか、造形プロセスの監視・評価手法の構築を目指しています。特に、PBF(粉末床溶融結合法)方式による積層造形分野でのラティス構造の効果的な設計が重要な課題となります。ラティス構造は、軽量性と高強度を兼ね備え、振動抑制や衝撃吸収などの機能を持つため、これらの特性を正確に予測しつつ、最適な設計を行う技術が求められています。
JAXAでは、積層造形プロセスにおける熱弾塑性解析法の改良や検証、熱履歴のモニタリング技術の構築に取り組みます。また、東京大学では、積層造形構造の評価やデータ取得、結晶形態に基づく予測手法の改良に注力します。国立天文台も、熱履歴モニタリング技術や試験片造形を行い、検証用プロトタイプの製作を担当します。サイバネットは、AIやサロゲートモデルを用いた工程の高速予測を行い、統合解析システムの改良を進めていきます。
将来の展望
今後は、これまでの成果をもとに、新しい手法の拡張や改良を行い、具体的な積層材料呼びの解析・評価技術の確立を目指します。本共同研究によって、従来の限界を超えた高機能な材料の開発が期待され、その成果は航空宇宙分野や医療分野を中心に広く応用されることでしょう。持続可能な未来に向けて革新を続ける各団体の取り組みに、今後も注目が集まります。