インジウム不使用で太陽電池効率アップ!次世代技術への期待が高まる
地球温暖化対策として、再生可能エネルギーの利用がますます重要視されています。その中でも太陽光発電は注目を集めており、従来の結晶シリコン系太陽電池よりも高性能な次世代太陽電池の開発が進められています。
特に期待されているのが、複数の太陽電池を組み合わせることで、より多くの光エネルギーを電気エネルギーに変換する「タンデム型太陽電池」です。しかし、タンデム型太陽電池の開発には、
安価で高性能、かつ安定性に優れた材料の開発が課題でした。
今回、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)の石塚 尚吾 首席研究員らのチームは、
希少金属インジウムを含まないCIS型薄膜太陽電池の光電変換効率を向上させる技術を開発しました。
CIS型太陽電池とは?
CIS型太陽電池は、銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)などの元素を組み合わせた化合物を使った太陽電池です。薄くて軽いという特徴があり、柔軟性にも優れていることから、従来の太陽電池とは異なる用途への展開が期待されています。
開発のポイント
今回の開発では、CIS型太陽電池の中でも、
短波長光(青色系の光)を効率的に吸収する「広禁制帯幅」を持つ材料に注目しました。この材料は、タンデム型太陽電池のトップセルとして最適です。
研究チームは、
アルミニウムを傾斜させて添加する技術を開発することで、光吸収層の品質を向上させました。これにより、インジウムを含まないCIS型薄膜太陽電池で、
世界最高レベルの12%を超える光電変換効率を実現しました。
将来展望
この技術は、
安価で高性能、そして環境負荷の少ない次世代太陽電池の開発に大きく貢献すると期待されています。将来的には、CIS型やペロブスカイト型など、さまざまな材料を組み合わせた、さらに高性能なタンデム型太陽電池の実現を目指しています。
まとめ
産総研の研究チームが開発した技術は、太陽電池の性能向上だけでなく、他のエネルギー変換デバイスにも応用できる可能性を秘めています。今後、この技術がさらに発展し、持続可能な社会の実現に貢献していくことが期待されます。