2025年:ひとつの学校から世界へ
2025年11月4日、岐阜県の安八町立東安中学校では、「世界とつながる学び」と名付けられた特別講演会が開催されました。この取り組みは、なかよし学園プロジェクトが主導し、1年生の全生徒82名を対象に行われました。
講演会の目的と内容
本講演では、「勉強する意味」が中心テーマとなり、今学んでいることが如何に将来の“仕事”や“社会活動”に結びつくか、そのプロセスが具体的に示されました。生徒たちは、ペーパーテストの枠を超えた、VUCA時代における“答えのない問い”と向き合い、ディスカッションや具体例を通じて自らの学びを深めました。特に、生き方講座の一環として行われた「平和をつくる仕事」では、緊迫した社会問題に関する理解を深めることが大切であるとのメッセージが伝えられました。
学びのプロセス
講演の中で強調されたのは、「学び→実装→社会へ」というプロセスです。これは、得た知識を単に覚えるのではなく、自らの意見を持ち寄り、グループでアイデアを練り直しながら社会に適応させていく過程について考察されました。世の中はこうした試行錯誤の中で変わりうるというメッセージは、生徒たちに自らの意見を持つことの重要性を再認識させました。
また、行動経済学や開発経済学の観点についても触れられ、ジニ係数やナッジ理論など、より現実的な社会の問題をデータを通じて解読する方法が紹介されました。講演を通じて生徒たちは、自らの手で「より良い選択」をする力を身につける重要性を理解しました。
ともに学ぶ対話の時間
ディスカッションタイムも設けられ、「戦争が起こったら?」「平和とは何か?」というテーマについて、生徒たちと教員が一緒になって意見を交換しました。この対話の中で、校長である辻村由香里氏が平和の本質について「数学の面白さは考えること、答え、そしてヒントにあり、学ぶ楽しさは自分の思考の中にある」と生徒たちに伝える姿が印象的でした。
行動経済学を活用したファシリテーションも行われ、生徒は自由に意見を表明し、様々な答えが正解となるという重要な経験を得ました。このようなダイナミックな学びの場が提供されることは、彼らの自信を高める大きな要素となったに違いありません。
合唱による平和のメッセージ
さらに、安八町立東安中学校では、本講演会を契機に「合唱」を実装テーマとして設定しました。合唱コンクールの練習の一環として、英語字幕を付けたビデオを制作し、海外の連携先に伝送する計画が進行中です。この試みは、世界に向けたメッセージとして、言葉の壁を越えた大切なコミュニケーションとなることが期待されています。
また、本講演はなかよし学園の「CoRe Loop」モデルの一環であり、全国50校で展開されるべき教育改革の新しいスタイルでもあります。生徒たちは、制作や発信、共創を通じて、音楽が持つ力とその影響を感じながら、さらなる学びを進めることでしょう。
今後の展望
合唱に英語の字幕を付けることにより、歌詞の意味や曲に込められた感情を視覚化し、国際的な交流を進める重要なステップを踏み出しました。これに加えて、「戦争が起こったら?」「平和をどうつくる?」などのテーマについて定期的に議論を交わし、行動経済学に基づくアイデアを地域の問題解決に結びつけることを目指しています。今後は、生徒の実践を成果物としてまとめる試みが進められ、学びの過程が見える化されていくでしょう。
このように、若い世代が自らの意志で世界との接点を持ち、未来の選択肢を広げていく姿勢がしっかりと根付くことを期待しています。