トムソン・ロイターから発表された「Thomson Reuters Global Trade Report」は、アジアの多国籍企業経営者を対象にした初の調査であり、特に日本市場に焦点を当てています。このレポートは、日本企業の国際貿易における障壁を明らかにし、企業が直面する課題について深く掘り下げています。
調査に参加した経営幹部の51%は、複雑な規制環境を自社の国際貿易の最大の障害と認識しており、これにより貿易活動が阻害されていることが示されています。また、49%の経営者が、サプライチェーンの混乱や透明性の欠如が世界貿易の大きな障壁であると回答しています。特に日本では、経営幹部の71%が貿易の緊張がサプライヤーに悪影響を与えていると感じていることも注目すべき点です。
レポートを通じて、トムソン・ロイターの代表取締役社長、ヨンソン・バンは、企業が強化される規制環境にどう対処するべきかについて言及しています。「貿易を通じて収益を得る日本企業には、厳しい規制の影響が徐々に明らかになっている」と強調し、サプライチェーンの透明性と混乱の問題は年々深刻になっています。
また、調査結果では、コンプライアンス体制の維持が企業にとっての必須要件となっているものの、35%の経営者は自社の貿易コンプライアンスやサプライチェーンを適切に管理できていないと認識しています。さらに、データセキュリティやプライバシーに関する懸念が41%に上ることも示されています。このように、複雑な規制環境と不安定なサプライチェーンが企業に与える影響は大きくなっています。
調査によると、日本企業はパンデミック前に21%がサプライネットワークを多様化していたことが示されており、パンデミック後の2020年には、その多様化を更に進めたいと述べるビジネスリーダーは65%に達しました。加えて、45%の企業がこの多様化を長期的に維持する意向を示す一方、単なる一時的な対策と考える企業はわずか20%でした。
これらの調査結果を受け、日本の経営幹部は2020年の貿易目標を達成できたと自信を示しており、さらに2021年も達成できるとの見込みを持っています。しかしこの一方で、迅速な意思決定を妨げる要因として、データ不足が挙げられ、51%の経営者が深刻な阻害要因と感じています。これに対抗するため、テクノロジー導入への期待が高まっています。
調査結果では、日本企業の3分の1以上である36%の経営幹部が、新たなテクノロジーが貿易目標達成の鍵であると回答し、65%が2021年の投資が増加するとの見通しを示しています。
ヨンソン・バン社長は、国境を越えた貿易における細やかな配慮が重要であり、サプライチェーンは変化する規制に適応する必要があるとの見解を示しました。今後、信頼性のある情報源を活用したテクノロジープラットフォームへの投資が重要になると警鐘を鳴らしています。
詳細な調査方法や結果については、トムソン・ロイターの公式ウェブサイトをご覧ください。
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