高齢者における医療機関利用の傾向とは
高齢者にとって医療機関の利用は必須の活動ですが、その負担は年々増加しています。特に65歳以上の高齢者に関する医療法人ONE きくち総合診療クリニックの調査によると、実に約7割の高齢者が複数の病院を訪れている状況が明らかになりました。この調査は2024年10月に実施されたもので、対象は年齢が65歳以上の1,003人です。
複数病院受診の背景
通常、体調不良を訴える際、多くの高齢者が自分の健康状態に応じて、異なる診療科や病院を選択しています。この中で43.2%の回答者が「よく受診する病院が2、3個ある」と回答しており、また31.1%が「症状に応じて受診する病院が異なる」としています。つまり、複数の医療機関を利用することは、高齢者にとって身近な現実であることが分かります。
その理由としては、主に「専門医でないと信頼できない」とする意見が41.6%と最多であり、次に「症状によって設備が整った病院を選ぶ」という理由が35.3%を占めています。さらに、20.3%の高齢者は「症状によって断られる」ため、仕方なく他の病院に行かざるを得ないという現実も浮かび上がりました。
増加する受診の負担感
高齢者が病院を訪れる頻度は確実に増加しています。そのため、受診すること自体に多くの困難を感じている人が多いことが調査から浮かび上がりました。「年を重ねるごとに、病院を受診するのが大変だと感じる」との質問には、約6割が「とてもある」または「ややある」と回答しています。
具体的な困難事項としては、最も多かったのが「診察までの待ち時間が長いこと」(59.6%)、続いて「病院まで移動すること」(36.9%)、「様々な病院に通わなければならないこと」(29.3%)となっています。このような現状を踏まえると、高齢者にとっては物理的な移動や待機自体が大きな負担となり、病院の受診がさらに大変になることを危惧する声が高まりつつあります。
理想的な医者とは
そうした中で、理想的な医者を求める声も多く、調査結果では「適切な判断をしてくれる」(72.2%)、「適切な処置をしてくれる」(57.4%)といった条件が挙げられます。また、55.7%の人が「すべての理想的な条件を満たす医者に診てもらいたい」と回答しており、これは医療に対する期待の高さを表しています。
理想の治療を受けるためには、患者一人一人に寄り添うことのできる「総合診療かかりつけ医」が必要であるとの共通理解が形成されています。特に、高齢者にとっては複数の医療機関を訪れることの負担を軽減できる診療体制が評価されています。
まとめ
今回の調査を通じて、高齢者にとっての医療機関利用の実態およびその背景にある困難さが浮き彫りになりました。複数の職場を訪れる高齢者が多く、その理由には専門医への信頼。また、受診の大変さを感じる高齢者が多いことから、医療の在り方が問われています。
医療法人ONE きくち総合診療クリニックのように、身近で頼れる総合診療が求められています。高齢者の生活を守るためにも、これからの医療体制が重要な鍵となるでしょう。