スーパーコンピュータ「富岳」の新たな成果
理化学研究所や東京科学大学、株式会社フィックスターズ、日本電信電話株式会社、富士通株式会社の共同研究グループが、スーパーコンピュータ「富岳」を使って、国際的な性能評価であるGraph500の幅優先探索(BFS)部門において世界第1位を達成しました。この成果は、富岳が11期連続での世界的高評価を維持していることを示しています。
Graph500ランキングの背景
「Graph500」は、スーパーコンピュータの大規模グラフ解析性能を評価する国際的なランキングであり、特にビッグデータ処理には欠かせない指標です。今回の測定結果では、富岳は約204 TeraTEPSという高いスコアを記録し、これまでに達成されていない規模のグラフを高速に解析する技術が完成しました。
最新技術の開発とその影響
共同研究グループは、約8.8兆の頂点と140.7兆の枝からなる超大規模グラフを用いて、平均0.69秒で処理することに成功しました。この成果は、省メモリ化技術の採用により、効率的な並列処理が実現した結果です。加えて、性能の変動を抑えるための乱数シード値自動探索機能も開発され、さらなる性能向上が図られています。
実社会での意義
多くの現象がグラフで表現される今日、例えばSNSなどでのネットワーク解析においては、迅速なグラフ解析が求められています。Society 5.0に向けた取り組みでも、IoT技術などから得られた膨大なデータをグラフ解析することで新たな価値を創出することが期待されています。これにより、持続可能な開発目標(SDGs)を実現するための基盤が形成されます。特に「9.産業と技術革新の基盤を作ろう」や「11.住み続けられるまちづくりを」といった目標に寄与することが期待されます。
さらなる開発と展望
Graph500のBFS部門での第1位達成は、富岳が高い汎用性と性能を持つことを証明しました。今後も共同研究グループはテクノロジーの進化に取り組み、計算負荷の軽減やデータ圧縮に関する研究を続けていく予定です。また、実データの大規模化や複雑化に対応するため、最先端のソフトウェア技術を融合させた新たな解析技術も開発されるでしょう。
このように、スーパーコンピュータ「富岳」は科学技術計算だけでなく、より複雑なグラフ解析においても高性能を発揮し続けています。これにより、様々な分野での応用が広がることが期待され、その成果が実社会にも貢献することが望まれます。さらなる進化を続ける富岳に今後も注目が集まります。