人員不足が響く大企業の人事部門
近年、多くの大手企業で人事部門の人材不足が深刻な問題となっています。
調査によれば、6割を超える企業が「人事管理」および「企画」人員が足りないと感じており、今後の成長を妨げる要因となっています。このような背景から、企業は外部リソースへの依存を高めるとともに、自社の体制見直しを迫られています。
ICT投資がもたらす変革
パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社が実施した「人事部門におけるICT投資動向調査」においても、この人員不足が調査の中心に据えられました。具体的には、2024年度の人事部門の人件費が全体の7〜8割を占め、企業がITシステムにかける費用が増加していることが確認されました。特に、生成AIやRPAといった最新技術への投資が進む中で、業務の効率化が求められる状況です。
具体的な調査結果
調査では、370社以上の大手企業が対象となり、2024年度の予算やITシステム投資の傾向が分析されました。
1.
人事部門の配置と人的リソース
企画部門の人員が少なく、必要性は認識されていても対策が講じられていない現状が浮き彫りになりました。
2.
予算と費用
人事部門での予算が全体で増加傾向にあり、前年と比較して半数以上の企業が予算を増やしています。特にIT関連費用への増加が顕著です。
3.
IT・デジタル活用状況
現在、人事部門で用いられているシステムは勤怠管理や給与計算が多数を占めますが、今後は人事評価やタレントマネジメントのシステム導入も進む見込みです。約2割の企業がすでに生成AIの導入を行っており、4割以上の企業が今後の導入を検討しています。
DX推進の重要性
パーソルWSCの部長、粥川泰地氏は、「デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めることで、企業はデータを活用した合理的な意思決定が可能になる」と言及しています。データの整備と活用は、企業の成長に欠かせない戦略の一部であり、今後さらに注目されていくでしょう。
未来に向けた取り組み
企業は人事部門の人員不足を解消するため、外部のコンサルティングを活用したり、社内でのデジタル化を進めたりといった取り組みを急いでいます。また、パーソルWSCは今後ますますベンチマーク調査を充実させることで、他社との比較データを提供し、企業が抱える課題の解決に寄与していく方針です。自社の強化のみならず、業界全体の進化にも貢献するはずです。
おわりに
人員不足とAI投資の現実は、今後の企業運営における大きな課題であり、これをどのように克服していくかが、企業の競争力を左右する重要な要因となるでしょう。デジタルシフトが進む中で、人事部門の役割も再定義される必要があります。パーソルWSCは、その取り組みを通じて、企業の人事改革を支援し、働き方の未来を変えていくことを目指しています。