デジタル技術を活用した防災対策の取り組み
日本防災プラットフォーム(JBP)と国連開発計画(UNDP)が協力し、社会的に脆弱な人々のためのデジタル防災戦略を展開しました。この新たな試みは、技術を利用して自然災害や気候変動からの防護を強化することを目的としています。特に、2021年から2022年にかけて行われた「DX4Resilience」プロジェクトでは、ネパール、フィリピン、スリランカの早期警報システムに向けた革新的な解決策が模索されました。
災害による被害の実態
特にフィリピンでは、2021年12月の台風オデットによる甚大な被害が今なお影響を及ぼしています。そのため、今回の共同イニシアティブは、現地のニーズを理解し、効果的な防災対策を進めるための大きな一歩となりました。JBPとUNDPは、対象国の政府関係者や民間企業と協力し、オンラインでのコンサルテーションを重ね、具体的なニーズを把握しました。
7つのデジタル防災ソリューション
2022年3月29日の成果報告会では、選定された7つのデジタル防災ソリューションが紹介され、各国の関係者による意見交換が行われました。これらのソリューションには、リアルタイムでの洪水リスク情報提供や、顔認証技術を用いた避難者の安否確認、AIチャットボットを活用した個別の防災情報提供などが含まれています。
主なソリューション
1.
RisKma:洪水リスク情報をリアルタイムで提供するシステム。
2.
防災プラットフォーム“防すけ”:ゲリラ豪雨や豪雨からの災害防止をサポート。
3.
Alandis+:オープンソース技術をベースにしたWebGISで、地図ベースの情報を提供。
4.
AIチャットボット:災害弱者に最適な防災情報を届けるAIシステム。
5.
緊急災害速報システム用ロングレンジスピーカー:広範囲に音声を届けることが可能。
6.
デジタルTVシステム:地域の災害弱者に向けて情報伝達を行うシステム。
7.
顔認証による自動受付システム:避難施設での安否確認を効率化。
地域の特性に応じた防災対策
JBPの代表理事である西口氏は、正確な問題特定の重要性を強調し、様々な立場やグループと協力する必要があると述べました。特に、最も脆弱な人々の視点からの考慮が求められ、地域の特性に即した解決策が窮地に立たされないための鍵となります。
ネパールのような地震に脆弱な地域では、早期警報システムの強化が不可欠です。UNDPネパール事務所の防災チームは、革新的な技術やソリューションが特に重要だと強調しています。
未来への展望
今回のイニシアティブは、共通のプロセスを作ることの極めて重要な側面を示しました。現場のニーズを理解し、災害に強靭な社会を築くためには、民間企業が主導して新しいテクノロジーを発展させ、実践的なソリューションを提供することが求められています。
イベント動画はこちらからご覧いただけます。
更なる詳細は、UNDPやJBPの公式ウェブサイトにて確認できます。社会的弱者に向けた防災対策を進めるため、今後も世界各国での取り組みが重要です。