アルファフュージョン、シリーズB資金調達の進展について
アルファフュージョン株式会社(大阪府大阪市)は、がん治療の革新を目指し、10.2億円の第三者割当増資を実施しました。新たにシードをもらったこの資金は、日本国内外でのアスタチン(At-211)を用いた治療法の研究開発を加速させる重要なステップとなります。新規VCとしてSBIインベストメント株式会社が参画し、さらに大阪大学ベンチャーキャピタルとの連携も強化されました。
アスタチンの治療法とは?
アルファフュージョンはアスタチンを用いた標的α線核医学治療(Targeted Alpha Therapy;TAT)を推進するスタートアップです。この治療方式は、がん細胞を狙い撃ちする形で放射線を用いるもので、今後のがん治療において重要な役割を果たすと期待されています。欧米ではすでにいくつかの企業が、関連する治療法に巨額の投資を行い、大規模なM&Aを進めています。この流れの中で、アスタチンの短寿命による安全性、ハロゲン核種としての特性が注目されています。
資金調達の成果と進捗
アルファフュージョンは、2023年5月に行ったシリーズA資金調達以来、複数の研究・開発を進めてきました。以下はその概要です:
- - 1stパイプライン(甲状腺がん):臨床試験が進み、推奨用量の特定に向けて高用量投与を行っています。
- - 2ndパイプライン(前立腺がん):世界で初めてAt-211を用いたPSMA-5薬剤の投与が完了し、次のステップへ進行中です。
- - 3rdパイプライン:共同研究を通じて、新しいターゲティング技術や製造方法を開発しています。
この資金調達により、国内外での治験薬GMP製造設備の準備が進むと同時に、研究拠点の拡充が期待されます。大阪大学の研究中心としての役割を強化し、つくばや新潟でも新たな拠点を設ける計画があります。
リーダーシップとチーム構築
CEOの藤岡は、「アスタチンの特性を最大限に活かし、新治療法の実現を目指している」とコメントしています。研究開発の加速と共に、アルファフュージョンはチームの強化にも注力しており、臨床開発や薬事対応など、製薬企業に求められる多岐にわたる機能を充実させています。
今後の見通し
アルファフュージョンのアスタチン創薬は、日本国内外でのがん治療への新しいアプローチとして注目されています。大きな期待が寄せられる中、今回の資金調達はさらなる研究開発や企業主導の臨床試験につながる重要な前進です。今後、アルファフュージョンが実現しようとしている医療の革新がどのように展開していくのか、注目が集まります。アルファフュージョンは今後も研究開発を加速し、発展させることで、新たながん治療の実用化を目指していきます。