日本の労働市場は長年の停滞を経て、徐々に新しい変化を迎えています。特に、多様な職務やスキルに応じた人材をどのように活用するかが、今後の経済成長において重要なテーマとなってきています。これに関連して、株式会社三菱総合研究所(MRI)が「ジョブ型人事導入に向けたロードマップ」を発表しました。この提言は、政府が進める「三位一体の労働市場改革」を実現するためのものであり、職務やスキルに関する共通言語を構築することの重要性を強調しています。
背景
これまでの日本においては、デフレによる経済の長期停滞が続いていましたが、最近では状況が改善しつつあります。例えば、2024年の春闘では、33年ぶりとなる高水準の賃上げが実現しました。こうした労働市場の変化は、企業が効率的に人材を活用し、生産性を向上させるための大きなチャンスです。しかし、現状の日本の労働市場には、職務やスキルに関する明確な共通言語が不足しているため、企業や労働者が求められる能力を的確に理解し、活用することが難しいのが実情です。
本提言の概要
MRIは、日本の労働市場における職務やスキルの可視化を進めるための具体的なステップを策定しました。提言は以下の6つの項目に分かれています。
行政への提言
1.
ビジョンと役割分担の明確化: 政府は、労働市場改革に向けての明確なビジョンを提示し、産業界、学界と連携して役割を分担する必要があります。
2.
民間サービサーとの協力: 民間サービス業者を活用して情報の流通を促進し、労働市場の透明性を向上させます。
3.
企業のジョブ型導入支援: 政府は企業がジョブ型人事を導入するための支援を行うことが求められます。
企業への提言
4.
目的の明確化: ジョブ型人事を導入する前提として、企業の目的や意義を明確にすることが重要です。
5.
職務・スキルの可視化: 企業内での職務やスキルの可視化を推進し、従業員が自らのキャリアを選択できる環境を整備しましょう。
人材・教育事業者への提言
6.
エコシステムの一員としての貢献: 人材流動化のエコシステムに参加し、スキルベースの共通言語を普及させる役割が期待されます。
今後の予定
今後、MRIは総合的で客観的なデータを基にした分析や提言を続けていく方針です。また、9月25日には国際ワークショップを開催予定です。このイベントでは、デジタル技術革新が労働市場に与える影響について議論します。興味のある方々の参加をお待ちしております。日本の労働市場を共に考える場として、多くの方にご注目いただきたいです。
お問い合わせ先
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