失われゆく農耕文化を守る「無形文化遺産」の取り組み
2026年の2月16日から18日、石川県珠洲市にてユネスコ無形文化遺産に登録されている農耕儀礼、「あえのこと」が開催されます。この儀式は、先代から受け継がれてきた知恵と文化を次の世代に伝える重要なイベントです。
本行事は、12月に家に迎え入れた田の神様を田んぼへと送り出す儀式であり、震災の影響で日常生活が奪われた中でも、この文化を存続させるために一生懸命に取り組んでいる二人の担い手がいます。浦野政行さんと岡嶋健市さんです。
震災を乗り越え、文化を繋ぐ「二人の担い手」
浦野さんは、珠洲市の高波地区で50年以上も農業に従事してきましたが、震災により家が全壊し、仮設住宅での生活を余儀なくされています。それでも、祖父の代から続く「あえのこと」を行うため、隣人の納屋を利用して神様を送り出す場を整えています。また、土地に根付いた農家としての誇りを示すことが彼の使命と言えるでしょう。
一方、岡嶋さんは震災直後から珠洲でボランティア活動を行い、現在は金沢と珠洲を行き来しながら有機米を栽培しています。神事は被災地の象徴である「インスタントハウス」で執り行われ、外部からの担い手として現代の視点を持ち込みながら文化を守り伝えるという挑戦を続けています。
「旧正月」に合わせた開催の復活
「aえのこと」の神送りは通常2月9日に行われていますが、文献調査により、過去には「旧正月」に実施されていたことが分かりました。この復活を通じて、本来の暦の持つ精神性と、農作物の成長サイクルに帰ることを目指します。
実施スケジュール
以下のスケジュールで行事が行われます。場所は石川県珠洲市三崎町高波の指定場所です。
2月16日(月)
- - 13:00 若木迎え:神様の依代となる若木を作成
- - 15:00 ひらき盆作り:神様へのお供え物を製作
2月17日(火)
- - 10:00 餅花つくり:餅花を飾り神様を見送る準備
- - 14:00 神送り(浦野家):納屋で神様をもてなす
- - 15:00 神送り(岡嶋家):インスタントハウスにて儀礼
- - 17:00 直会(なおらい):神様のお下がりを皆でいただきます
2月18日(水)
- - 10:00 田打ち:神様を田んぼへ送り届け、豊作を誓います
参加を希望される方は、2月17日と18日にその場で体験できる特別イベントに参加することが可能です。餅花作りから神送り、田打ちまでの一連の儀礼を通じて、奥能登の精神文化を体感する貴重な機会です(昼食は各自でご持参ください)。
来年度の展望
事務局では、この取り組みをモデルケースとして、来年度から「農業体験と文化体験を組み合わせたツアープログラム」の実施を予定しています。文化の背景を学ぶワークショップを開催し、地域の回復力を学ぶ機会を設けることで、地域の魅力を世界に発信していく予定です。
取材希望の方は、いかなる問い合わせも受け付けていますので、ぜひご連絡ください。奥能登農耕文化ツアー事務局まで気軽にお問い合わせいただけます。