新たな防災の形!声を高く変換するメガホンランタンの開発
災害時における飲酒者の安全確保は、近年ますます重要視されています。そんな中、株式会社quantumが開発した防災用メガホンランタンが、注目を集めています。このユニークなプロダクトは、話した声を高い音に変換する機能を持ち、居酒屋やバーなど、騒がしい環境でも声が届きやすくなっています。
開発はquantumの他にヤッホーブルーイング、有限会社日本音響研究所、株式会社ノボル電機、そしてTBWA HAKUHODOの4社が協力して進められました。このメガホンは、災害の発生時において、飲酒を楽しんでいる客々に向けて、安全確保のための声かけ(身を守る行動の呼びかけ・避難誘導、指示など)を行うためのものです。
バックグラウンド
ヤッホーブルーイングが実施した研究によると、多くの飲食店が災害発生時に飲酒客の安全に対する不安を抱えていることが分かりました。特に、飲酒による判断力の低下や、周囲の環境音の影響で、重要な声かけが届かなくなることが懸念されているのです。これを踏まえて、声の周波数を上げることで、声をよりクリアに届けることができるメガホンの開発が始まりました。
日本音響研究所の調査では、騒がしい環境での音声伝達には、3,500Hzから5,000Hzの周波数成分が効果的であることが判明しました。この周波数帯域は、人間の耳に届きやすく、騒音の中でも比較的明瞭に聞こえるため、声を高くすることが重要だとされています。しかし、実際には個々の声質や声の高さには限界があり、その課題も解決する必要がありました。
メガホンの特徴
この防災用メガホンは、ランタン型のデザインで、普段からお店の雰囲気に馴染むよう設計されています。災害時には簡単に使用できるようですが、普段使いの際にはインテリアとしても活用できる点が魅力です。
現段階ではこのメガホンの販売は行われていませんが、飲食店向けのセミナーや体験会を通じて、実際に体験してもらう機会が設けられる予定です。これにより、飲食店のスタッフが非常時の対応力を高めることも狙っています。
MEDUMの役割
このプロジェクトのデザインを手掛けたのは、quantumのインハウスデザインスタジオであるMEDUMです。彼らは、本質的な価値を形にし、プロダクトイノベーションを生み出すことに注力しています。過去にはiF Design GoldやCannes Lions Goldといった権威あるアワードを受賞している実績を持ち、今回のメガホンも新たな社会づくりに貢献できると期待されています。
まとめ
安全な飲酒環境を提供しながら、過去のデータを基にした革新的な防災メガホンは、飲食業界における新たなスタンダードとなる可能性があります。今後の展開が楽しみなこのプロダクトは、工夫されたデザインだけでなく、社会の安全性を高める重要な役割を果たすでしょう。私たちの周りに存在する飲食店も、このような取り組みを徐々に普及させていくことが求められています。この新たな防災の形が、今後の災害対策にどのようなインパクトを及ぼすのか注目です。